18章:シランカップリング

  1. シランカップリング剤の分子構造
     図18-1にシランカップリング剤の分子構造を示します。

     図18-1において、Rは任意の分子構造です。

     Si原子に3個のOCH3(メトキシ基)が付いた構造をしています。
     電荷分布(極性)があり、Siはプラス、Oはマイナス、Cはマイナスに 帯電しています。
     SiとOは引き合いますがOとCは反発します。 この結果、OとCは分離しやすい構造です。

     水分がなければ、この材料は安定状態を保ちます。



  2. シランカップリング剤の加水分解
     図18-2にシランカップリング剤の加水分解を示します。

     図18-2において、Rは任意の分子構造です。

    メトキシ基は加水分解して、3個のメタノールと3個の水酸基(OH基) となります。
     メタノールは蒸発し、水酸基(OH基)はSiと結合します。




  3. シリコン(Si)表面の活性化
     図18-3にシリコン(Si)表面の活性化後の分子構造を示します。

     シリコンや石英等にシランカップリングを行うには 表面活性化処理が不可欠です。

     表面活性化処理は酸素プラズマ処理またはUVオゾン処理を 行います。
     表面活性化処理によって、シリコン(Si)表面には水酸基(OH基)が 結合した状態となります。



  4. シランカップリング剤の浸漬・リンス
     図18-4にシランカップリング剤の浸漬・リンス後の分子構造を示します。

     水酸基(OH基)同士は電荷分布(極性)により引き合う性質があります。
     シランカップリング剤の浸漬・リンスによりシリコン(Si)表面に分子1層分の シランカップリング剤が付着します。



  5. シランカップリング剤の脱水ベーク
     図18-5にシランカップリング剤の脱水ベーク後の分子構造を示します。

     脱水ベークにより、脱水縮合反応がおこりシランカップリング剤は シリコン表面に結合します。

     シリコンを例にシランカップリング剤の結合反応を説明しましたが 被カップリング処理材料はシリコンのみでなく、石英、ガラス、樹脂、金属等 でも可能です。
     ただし、表面活性化処理は不可欠です。



     

19章:ラジカル系樹脂カップリングに行く。

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