22章:後書き
- 半導体リソグラフィーとナノインプリント
先端半導体リソグラフィーの担当を引退したのは、1996年頃です。
当時はインターネットも一般的で無く、電話回線を利用したパソコン通信でした。
1998年頃から、電話回線を利用したインターネットが可能となり、時間つぶしに
ホームページの作成を開始しました。
最初は何を書いてよいのかわからなかったので、まずは蕎麦、うどんの
作り方をのせてみました。
次に、先端半導体リソグラフィーの担当で得た知識で、公開しても
問題なさそうな内容を次々と記載しました。
私の先端半導体リソグラフィー技術の記録のためのメモのような
ものです。
最後はナノインプリント関係を担当しましたが、半導体リソグラフィーとナノインプリントは
通じるものがあります。
- 半導体リソグラフィーの展望
半導体は微細化すると応答時間が短くなり、消費電力が小さくなります。
このため、微細化の願望が高いのです。
しかし、1996年頃から「微細化はどんどん難しくなるだろう」ということは
十分予測されました。
それは、紫外線による投影露光の解像度は理論的に予測され限界が
見えていたからです。
少しでも限界を伸ばす方法として
・位相シフトレチクル
・ArFエキシマレーザの採用
・ステップ&スキャン露光の採用
・液浸露光高NAレンズの採用
・2重露光法の採用
があります。
位相シフトレチクルはパターン設計上の制約が多い
技術ですが、2重露光法の採用により設計上の制約
が解消され、高密度実装が可能となります。
しかし、ステップ&スキャン露光+2重露光法においては
数nm程度のステージ精度が必要となります。
理論的には可能ですが、露光装置は、ますますステージ精度の
重要性が高くなります。
- 6軸レーザステージの概念図
露光装置用のステージは6軸レーザよる補正制御のステージが
理想です。
理屈の上では実現可能と思います。
- 半導体リソグラフィーへのナノインプリントの適用
・解像度的には全く問題がありません。
・転写欠陥は解決可能と思います。
(スタンパに付着した異物は被転写基板にもっていかれるため、セルフクリーニング性
があります。)
・アラメント精度は高精度ステージ、光学アライメント、高精度温度制御等が必要となります。
(理屈の上では実現可能です。)
まずは、液浸+2重露光法が現実的ですが、近い将来、世界のどこかで半導体リソグラフィーへのナノインプリントの適用が実用化するでしょう。
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