11章:野菜の性質

    作成2012.05.25
  1. 野菜の性質一覧
     表11-1に野菜の性質一覧を示します。

    表11-1 野菜の性質一覧
    酸性度 酸性度 発芽温度 発芽温度 日当り 育成温度 育成温度 湿度 連作禁止 種まき 植付 収穫
    名称 PH-min PH-max min(℃) max(℃) A〜D min(℃) max(℃) 多、中、少 休眠年 月/上中下 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
    サラダナ B 4/中〜10/上 × × × × × 40〜80日
    コマツナ 5.5 7 B 0 3〜6、9〜10 × × × × × × 4〜7、11〜1
    ダイコン(夏) 5.5 6.5 15 30 15 22 4〜7/下 × × × × × × × × 6/下〜9/上
    ダイコン(秋) 5.5 6.5 15 30 15 22 8/上〜9/上 × × × × × × × × × × 10/下〜12/下
    シュンギク 15 20 3〜5、9〜10 × × × × × × × 30〜50日
    ミツバ 6 7.5 8 C 15 20 4〜6、8〜9 × × × × × × × 50〜65日
    インゲン 5.5 6.5 20 30 18 26 2 4/中〜5/上、7/下〜8/中 × × × × × × × × 6/下〜8/上、9〜11
    エダマメ 5.5 7 3/上〜下、4/上〜6/上 × × × × × × × × 4/上〜下 6/中〜下、7/下〜8/中
    ホウレンソウ 6.5 8 15 20 B 15 22 2 3〜4、9 × × × × × × × × 5〜6、11〜12
    ニンジン 5.5 6.5 15 25 A 15 22 0 4/上〜中、7/上〜8/下 × × × × × × × × × 6/中〜下、10/上〜4/中
    ネギ 6 7.5 B 15 22 2 3、8/下〜9/上 × × × × × × × × × 7、3〜4 10〜、9〜
    レタス 6 7.5 15 25 B 15 20 2 8/上〜下、3/中〜4/上 × × × × × × × × × 9/上 10/上、6〜7
    オクラ 25 30 4/上〜中、5 × × × × × × × × × × 5/上 6/中〜、7/上〜
    カブ 5.5 6.5 15 22 1 8/上〜9/下 × × × × × × × × × × 9/中〜1/下
    カリフラワー 6 7.5 15 30 6/下〜7/中 × × × × × × × × × × 7/下〜8/上 10/下〜12/上
    トウモロコシ 5.5 6.5 4/下〜5/中 × × × × × × × × × × 7/下〜8/中
    ハクサイ 15 35 B 15 22 8/下〜9/上 × × × × × × × × × × 11〜12
    パセリ 5.5 6.5 15 20 4〜5 × × × × × × × × × × 7〜8 9〜
    ブロッコリー 6 7.5 7/上〜中 × × × × × × × × × × × 8/中〜下 10〜12
    エンドウ 5.5 7 15 22 6 10/上〜中 × × × × × × × × × × × 4/下〜
    カボチャ 5.5 6.5 A 18 26 0 4/上 × × × × × × × × × × × 7/下〜8/下
    キャベツ 5.5 7 15 25 B 15 20 1 9/中〜下 × × × × × × × × × × × 11/下〜12/上 5/中〜6/上
    セルリー 5.5 7 15 20 15 20 5/中 × × × × × × × × × × × 8/上〜中 10/下〜11/上
    ソラマメ 15 22 1 10/中〜下 × × × × × × × × × × × 6〜
    キュウリ 5.5 6.5 25 30 A 18 26 3(温室) × × × × × × × × × × × 5/上 5/中〜7/中
    スイカ 5 6 25 30 A 18 26 6 3/中(温室) × × × × × × × × × × × 4/下5/上 7/下〜9/上
    トマト 5.5 6.5 20 30 A 18 26 6 2(温室) × × × × × × × × × × × 4/下 6/中〜8/下
    ナス 5.5 6.5 15 30 A 6 2(温室) × × × × × × × × × × × 5/上 6/中〜11/中
    ピーマン 4 2(温室) × × × × × × × × × × × 5/中 6/上〜11
    ニラ × × × × × × × × × × × × 3/中〜下、9/中〜下 適時
    ワケギ B × × × × × × × × × × × × 8〜9 9〜5

    表11-1の野菜の性質一覧において「−」はデータ無しを意味しています。

    1. 酸性度
       酸性度は25 ℃ の純水の場合ほぼ pH=7(中性)となります。値が小さいと酸性、大きいとアルカリ性です。値が1小さいと水素プラスイオン濃度が10倍となります。
       表11-1において、最も酸性を嫌う野菜がホウレンソウです。
       また、ミヅバ、ネギ、レタス、カリフラワー、ブロッコリー等が酸性を嫌います。
       スイカは酸性を好みます。

    2. 発芽温度
       発芽温度のminとmaxの差が大きいほど、種まきできる期間が長くなるはずです。
       表11-1において、最も低温で発芽するのはミツバです。
       ダイコン、ホウレンソウ、ニンジン、レタス、カリフラワー、ハクサイ、キャベツ、セルリーナス等は15℃から発芽します。
       インゲン、トマトの発芽は20℃以上、キュウリ、スイカの発芽は25℃以上です。

    3. 日当たり
       Aが強い光を好む野菜です。Bが弱い光を好む野菜、Cが日陰を好む野菜です。Dは暗闇を好む野菜です。
       ニンジン、カボチャ、キュウリ、スイカ、トマト、ナスが強い光を好みます。
       サラダナ、コマツナ、ホウレンソウ、ネギ、レタス、ハクサイ、キャベツ、ワケギが弱い光を好みます。
       ミツバは日陰を好みます。

    4. 育成温度  シュンギク、ミツバ、レタス、パセリ、キャベツ、セルリーは15〜20℃の低温を好みます。
       ダイコン、ホウレンソウ、ニンジン、ネギ、カブ、ハクサイ、エンドウ、ソラメメは15〜22℃で育成します。
       インゲン、カボチャ、キュウリ、スイカ、トマトは18〜26℃の高温を好みます。
       オクラは25〜30℃とさらに高温です。

    5. 湿度
       データ不足ぎみですが
       ミツバは中程度を好みます。
       インゲン、スイカ、トマトは乾燥を好みます。

    6. 連作禁止(休眠年)
       コマツナ、カボチャは連作可能です。
       カブ、キャベツ、ソラマメは1年の休眠が必要です。
       インゲン、ホウレンソウ、レタス、ネギは2 年の休眠が必要です。
       ピーマンは4年の休眠が必要です。
       エンドウ、スイカ、トマト、ナスは6年の休眠が必要です。

    7. 種まき、植え付け、収穫時期
       表11-1の野菜の性質一覧の通りです。


     
  2. 家庭菜園でどんな野菜をつくるべきか?
     好みもありますのでいちがいにはいえないのですが
    1. 狭い菜園で育成可能な野菜(菜園の広さによります。)
    2. 鮮度が要求される野菜
    3. 料理で利用しやすい野菜
    4. 年間を通じて育成しやすい野菜
       等が家庭菜園に向くと考えています。


     
  3. 夏野菜
     夏野菜としては、トマト、キュウリ、ナス、ピーマンが代表的です。
     トマト、ナス、ピーマンの種まき時期が2月で発芽温度は20℃〜30℃です。キュウリは種まき時期が3月で発芽温度は25℃〜30℃です。日本の自然環境では、発芽し ませんので種まきと苗の育成には、温室栽培が不可欠となります。
     多くの場合、5月連休前後で苗を購入して植え付けすることになります。酸性度はPH5.5〜6.5で通常レベルで育成します。日当たりは強い光を好みます。
     育成温度は18℃〜26℃で5月以降の気温であれば適合します。湿度はやや乾燥を好みます。
     問題なのは、休眠年数が6年と長い点です。トマト、キュウリ、ナス、ピーマンは連作を続けるうちに病気になりやすくなります。
     狭い菜園で6年の休眠されるのはとてもできません。といって、農薬を多用するのは望ましいことではありません。
     もっとも考えなければならないのは土壌の改良です。土壌の改良の手軽な手段としては、野菜用の培養土を使用することです。野菜用の培養土を使用すれば、部分的 に土が入れ替わりますので、連作ではなくなるはずです。
     野菜用の培養土と鶏糞等の有機肥料をベースとすれば、農薬に頼らない育成が可能になるはずです。
    (これは、キュウリの病気を発生させた反省です、来年は試してみようと思います。)


     
  4. ホウレンソウ
     ホウレンソウは酸性土を極端に嫌う野菜です。自然状態において、菜園の土壌は酸性化する傾向があります。ホウレンソウを栽培するには、土壌の中和処理が不可欠です。
     ホウレンソウの栽培は、菜園の土壌は酸性化を防止します。ホウレンソウは酸性土では育成しませんので、ホウレンソウが育つ環境をつくれば、菜園の酸性化を防止できることになります。
     適正なPHは6.5〜8であり、発芽温度は15〜20℃、弱い光を好みます。育成温度は15〜22度で、種まきは3〜4月と9月の2回です。
     料理で利用しやすい野菜です。


  5. 手間無し野菜
     手間無し野菜の代表はニラとアオジソです。
     ニラは多年草で一度植えると長年にわたって食用になります。枯れるのは、真冬のみであとは繰り返し生えてきます。
     アオジソは雑草なような繁殖力があり、一度作るとあとは自然に自生します。夏の薬味に最適です。


  6. 日常野菜
     日常野菜として最適なのは、サラダナ、コマツナ、ダイコン、シュンギク、ラディッシュ等です。
    1. サラダナ
       弱い光を好みます。種まきは4月〜10月まで可能で、種まき後40日〜80日で食べられます。生でサラダとしてたべます。

    2. コマツナ
       酸性度はPH5.5〜7、弱い光を好みます。種まきは3月〜6月と9月〜10月の期間が可能です。収穫は4月〜7月と11月〜1月ですが2月〜4月までの食べられます。冬を越すと菜の花になります。

    3. ダイコン
       酸性度はPH5.5〜7、発芽温度は15℃〜30℃、育成温度は15℃〜22℃です。種まきは4月〜9月まで可能です。収穫は6月〜12月まで長期に渡ります。種まき後の間引きも調理に使 用できます。根はもちろんですが、葉も料理に利用できます。

    4. シュンギク
       育成温度は15℃〜20℃です。種まきは3月〜5月と9月〜10月の期間が可能です。種まき後30から50日で収穫できます。育成しやすく、天ぷら用に最適です。

    5. ラディッシュ
       カブの仲間で、酸性度はPH5.5〜6.5、育成温度は15℃〜22℃です。種まきは8月〜9月ですが、春まきも可能です。収穫は9月〜1月ですが、春まきは5月から収獲できます。
       サラダのいろどりに最適です。


     
  7. 作りたい野菜
     2012年は生野菜が異常に高騰しました。特に高騰した野菜はキャベツ、レタス、トマト、ハクサイ等です。トマトは夏野菜で家庭菜園での収穫時期は6月〜8月です。これ以外の時期の収穫は難しいでしょう。
    1. レタス
       酸性度はPH6〜7.5、発芽温度は15℃〜25℃、育成温度は15℃〜20℃です。種まきは3月〜4月と8月の期間が可能です。収穫は10月と6月〜7月です。サラダの代表野菜です。

    2. キャベツ
       酸性度はPH5.5〜7、発芽温度は15℃〜25℃ 、弱い光を好みます。 育成温度は15℃〜20℃です。種まきは9月、収穫は5月〜6月です。比較的低温を好みますので、早い時期 の春まきも可能ではないかと思われます。キャベツはさまざまな料理に必要です。

    3. ハクサイ
       発芽温度は15℃〜35℃ 、弱い光を好みます。育成温度は15℃〜22℃です。種まきは8月〜9月、収穫は11月〜12月です。ハクサイは餃子、つけのも、なべ料理等に最適です。


  8. 旬な野菜
     旬な野菜としては、エンドウがあります。
    1. エンドウ
       酸性度はPH5.5〜7、育成温度は15℃〜22℃です。種まきは10月、収穫は4月です。苗の状態で冬を越し、春先にきれいな花が咲きます。





12章:2012年05月26日菜園状況に行く。

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