6章:はめあい公差

 はめあい公差とは穴と軸の精度に関する規格です。
  1. はめあい公差における精度等級規格
     穴と軸の精度に関する精度等級は1等級から18等級に区分されていますが、通常使用するのは6から10等級です。
      6から10等級までの精度等級規格を表6-1に示します。

    表6-1 精度等級規格表(基準寸法の単位はmm、公差の単位はμm)
    基準キジュン寸法スンポウ(mm) 等級トウキュウ
    以下イカ 6 7 8 9 10
      3 6 10 14 25 40
    3 6 8 12 18 30 48
    6 10 9 15 22 36 58
    10 18 11 18 27 43 70
    18 30 13 21 33 52 84
    30 50 16 25 39 62 100
    50 80 19 30 46 74 120
    80 120 22 35 54 87 140
    120 180 25 40 63 100 160
    180 250 29 46 72 115 185
    250 315 32 52 81 130 210
    315 400 36 57 89 140 230
    400 500 40 63 97 155 250
    500 630 44 70 110 175 280
    630 800 50 80 125 200 320
    800 1000 56 90 140 230 360
    1000 1250 66 105 165 260 420
    1250 1600 78 125 195 310 500
    1600 2000 92 150 230 370 600
    2000 2500 110 175 280 440 700
    2500 3150 135 210 330 540 860


  2. 公差域の位置(公差の基準位置)の規格
     公差域の位置(公差の基準位置)の規格は穴、軸それぞれ27通りが規定していますが、通常穴は H、軸はd、e、f、g、、h,、p、rが使用されます。
     軸d、e、f、g、、h,、p、rの規格を表6-2に示します。

    表6-2 軸d、e、f、g、、h,、p、rの規格(基準寸法の単位はmm、公差の単位はμm)
    基準キジュン寸法スンポウ(mm) 最大サイダイ 最小サイショウ
    以下イカ d e f g h p
    0 3 -20 -14 -6 -2 0 6 10
    3 6 -30 -20 -10 -4 0 12 15
    6 10 -40 -25 -13 -5 0 15 19
    10 18 -50 -32 -16 -6 0 18 23
    18 30 -65 -40 -20 -7 0 22 28
    30 50 -80 -50 -25 -9 0 26 34
    50 80 -100 -60 -30 -10 0 32  
    80 120 -120 -72 -36 -12 0 37  
    120 180 -145 -85 -43 -14 0 43  
    180 250 -170 -100 -50 -15 0 50  
    250 315 -190 -110 -56 -17 0 56  
    315 400 -210 -125 -62 -18 0 62  
    400 500 -230 -135 -68 -20 0 68  
    500 630 -260 -145 -76 -22 0 78  
    630 800 -290 -160 -80 -24 0 88  
    800 1000 -320 -170 -86 -26 0 100  
    1000 1250 -350 -195 -98 -28 0 120  
    1250 1600 -390 -220 -110 -30 0 140  
    1600 2000 -430 -240 -120 -32 0 170  
    2000 2500 -480 -260 -130 -34 0 195  
    2500 3150 -520 -290 -145 -38 0 240  
     表6-2において、d、e、f、g、、hは公差の最大値であり、最小値は表6-1の値を引いた値となります。また pとrは公差の最小値であり、最大値は表6-1の値を加えた値となります。
     従って、公差の最大値と最小値は表6-1と表6-2から計算できます。


  3. はめあい公差の計算
     具体的な計算はEXCEL表を使うと簡単に計算できます。
    「はめあい公差の計算」にいく。
     はめあい公差の計算表です。
     直径(単位mm)を入力すると自動計算します。


  4. 標準的なはめあい公差
    (1)高精度な回転、位置決め→H7/g6
    (2)φ3mmを越える穴と軸の圧入→H7/p6
    (3)φ3mm以下の穴と軸の圧入→H7/r6
    (4)潤滑されたジャ−ナル軸受けなど→H8/f7
    (5)ゆるい可動はめあい→H9/e9
    (6)とくにゆるい可動はめあい→H10/d9
     等が使用されます。
     精度等級は穴の場合は7等級、軸の場合は6等級が精密機械加工の基準であり、これを越える精度は、円筒研磨、円筒 ラップ等の特殊加工が必要となりコストアップとなります。
     逆に精度を甘くすると、機械加工が容易となります。この場合は必ずしも、はめあい公差に従う必要はありません。精度 の上限と下限のみを指定します。
      H7/g6、 H7/p6、 H7/r6ははめあい公差を守る必要があります。この場合に限っては面倒でも、はめあい公差と上限、 下限を併記するのが丁寧な記載方法です。




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