29章:球面レンズの3次元光線追跡計算式
- 球面レンズの3次元光線追跡計算式
図29-1の球面レンズの3次元の幾何学条件(XZ平面)において、パラメータは下記のとおりです。
- 入力パラメータ
Z0:入射光光軸方向座標
X0:入射光像高X方向座標
U0:入射光のX方向角度
Y0:入射光像高Y方向座標
V0:入射光のY方向角度
- 光学条件パラメータ
R1:レンズ面の曲率半径
D0:レンズ面の光軸方向距離
OX1:レンズX方向オフセット
OY1:レンズY方向オフセット
N0:入射側の屈折率
N1:出射側の屈折率
- 出力パラメータ
Z1:出射光光軸方向座標
X1:出射光像高X方向座標
U1:出射光のX方向角度
Y1:出射光像高Y方向座標
V1:出射光のY方向角度
- 線と球面の関係式
入射光の直線の方程式から
レンズ面の球の方程式から
の関係式が成立します。
(29-1) (29-2) (29-3)式より、光線とレンズ面の交点(X1,Y1,Z1)を求めることができます。
- レンズ面での屈折の関係式
3次元的なレンズ面での屈折の関係図を2次元の紙面に書くのは大変難しく、図29-2は、レンズの球の中心
と入射光方向ベクトルを含む断面図で表しています。従って、XYZ座標軸は任意の角度(3次元)で回転して
いるので注意が必要です。
図29-2において、法線ベクトルH(Hx,Hy,Hz)は交点(X1,Y1,Z1)からレンズ中心に向かう単位ベクトルです。ここで
の関係が成立します。また、ベクトルH(Hx,Hy,Hz)の絶対値|H|は
同様に入射光もベクトルL0(L0x,L0y,L0z)で定義されます。ベクトルL0(L0x,L0y,L0z)の絶対値|L0|は
の単位ベクトルとします。
ここで、図29-3の入射光ベクトルと座標軸の正負で示すX,Y,Z座標系での光線角度U0,V0とは下記の関係式が成立します。
図29-4 ベクトルの内積説明図に示すように、法線ベクトルH(Hx,Hy,Hz)と入射ベクトルL0(L0 x, L0 y, L0 z)の大きさとそのそのなす角の余弦との積をベクトルの内積またはスカラー積といいます。即ち
であり、ベクトルの内積の公式から
となります。
次に屈折の法則から、
が成立します。
(29.15)式から屈折角θ1を求めることができます。
- θ0 > θ1の場合
法線ベクトルに対する入射ベクトルθ0が
法線ベクトルに対する出射ベクトルθ1より大きい場合、すなわち
θ0 > θ1の場合、
出射光ベクトルの関係図は図29-5に示すようになります。
図29-5において入射ベクトルと出射ベクトルの差分ベクトルDLの絶対値をCtとします。
方向ベクトル(Dh)と法線ベクトル(H)の交点までの距離Khは下記式となります。
- θ0 < θ1の場合
逆にθ0 < θ1の場合、図29-6に示すようになります。
方向ベクトル(Dh)と法線ベクトル(H)の交点までの距離Khは下記式となります。
- 差分ベクトル
従って、入射ベクトルと出射ベクトルの差分DLは下記式となります。
( |Dh| はDhの絶対値)
- 出射ベクトル
最終的に求める出射ベクトル(L1)は下記式となります。
ここで、X,Y,Z座標系での出射光線角度U1.V1とは下記の関係式が成立します。
(29.9)式~ (29.29)式により、出射ベクトル(L1)を求めることができます。
上記式の一部は一般的になじみの薄いベクトルの式で表わしており、実際の計算は、XYZ成分に
分けて計算する必要があります。また、ベクトルは方向を持っており、数値の正負の方向に十分注意が
必要です。
- 実際の計算式
実際の計算式はベクトルの式を展開して計算する必要があります。
実際の計算式はC言語で記載しています。
下記(光線追跡メインソース.txt)をクリックして、サブル*チン(標準レンズ)を参照してください。
光線追跡メインソース.txt
を参照願います。
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