32章:市販レンズでの等倊光学系の設計
- レンズの選定
特注のレンズは大変高価な部品となります。
従って、特殊な光学系設計の場合を除いて市販レンズの
中からレンズを選定します。
市販レンズの供給元としては下記があります。
シグマ光機に行く。
エドモンドに行く。
今回の演習では、シグマ光機の球面アクロマティクレンズを用います。
以下の表はシグマ光機カタログの抜粋です。
D [mm] | φ20 | φ20 |
f [mm] | 50.2 | 99.5 |
tc [mm] | 8.1 | 6.1 |
te [mm] | 5.7 | 4.9 |
ff [mm] | 49 | 98.7 |
fb [mm] | 46 | 96.4 |
r1 [mm] | 30.153 | 58.5 |
r2 [mm] | -22.13 | -43.253 |
r3 [mm] | -71.445 | -150 |
d1 [BK7] | 6.1 | 4.1 |
d2 [SF2] | 2 | 2 |
AR | BMAR | BMAR |
偏心 | 1分以内 | 1分以内 |
品番 | DLB-20-50PM | DLB-20-100PM |
価格 [¥] | 11700 | 8100 |
設計波長 青:486.1nm、緑:546.1nm、赤:656.3nm
- 光学ガラス屈折率の調査
光学ガラスの供給元としては下記があります。
schottに行く。
オハラに行く。
オハラに行く。
住田光学に行く。
HOYAに行く。
シグマ光機の球面アクロマティクレンズで使用している光学ガラスはBK7とSF2です。
BK7とSF2はschottの光学ガラスの型吊ですが、現在BK7は供給されておらずN-BK7に
変わっています。
schott以外の光学ガラスメーカもほとんど同等の特性の光学ガラスを供給しています。
以下の屈折率表はshohottのカタログ抜粋です。
記号 | 波長 | N-BK7 | SF2 |
nt | 1014 | 1.50731 | 1.62861 |
ns | 852.1 | 1.5098 | 1.63289 |
nr | 706.5 | 1.51289 | 1.63902 |
nC | 656.3 | 1.51432 | 1.6421 |
nC' | 643.8 | 1.51472 | 1.64297 |
n632.8 | 632.8 | 1.51509 | 1.64379 |
nD | 589.3 | 1.51673 | 1.64752 |
nd | 587.6 | 1.5168 | 1.64769 |
ne | 546.1 | 1.51872 | 1.65222 |
nF | 486.1 | 1.52238 | 1.66123 |
nF' | 480 | 1.52283 | 1.66238 |
ng | 435.8 | 1.52668 | 1.67249 |
nh | 404.7 | 1.53024 | 1.68233 |
ni | 365 | 1.53627 | 1.70027 |
- DLB-20-100PM の特性計算
レンズ特性計算のため、下記プログラム(VBA)をダウンロードして下さい。
ダウンロード後はダブルクリックで解凍してから使用してください。
「簡易焦点距離計算.xls《をダウンロードする。
このプログラムは単独で動作します。
(1)「簡易焦点距離計算.xls《をダブルクリックでで起動します。この時マクロは有効にして開いて下さい。
(2)シート「アクロマティクレンズ 《を選択します。
(3)黄色セルに入力後「計算実行《ボタンを押します。
計算条件として以下の表を入力します。
No | 記号 | 値 | 説明 |
1 | Dia | 20 | レンズ直径(mm) |
2 | r1 | 58.5 | 第1面曲率半径(mm) |
3 | r2 | -43.253 | 第2面曲率半径(mm) |
4 | r3 | -150 | 第3面曲率半径(mm) |
5 | d1 | 4.1 | クラウンガラス中心厚(mm) |
6 | d2 | 2 | フリントガラス中心厚(mm) |
7 | n1 | 1.51872 | クラウンガラス屈折率 |
8 | n2 | 1.65222 | フリントガラス屈折率 |
9 | NJ | 5 | 変数範囲の分割数 |
10 | WL | 546.1 | 設計波長(nm) |
計算結果は以下となります。
| 平行光線の半径 | 正方向焦点距離 | 正方向後側焦点距離 | 正方向波面収差 | 正方向出射角度 | 逆方向焦点距離 | 逆方向後側焦点距離 | 逆方向波面収差 | 逆方向出射角度 |
No | H(mm) | F(mm) | Fb(mm) | OL(λ) | U(rad) | F(mm) | Ff(mm) | OL(λ) | U(rad) |
0 | 0.001 | 99.328 | 96.247 | 0.000 | 0.000 | 99.328 | 98.463 | 0.000 | 0.000 |
0.2 | 2 | 99.324 | 96.244 | 0.000 | 0.020 | 99.268 | 98.349 | -0.021 | 0.020 |
0.4 | 4 | 99.313 | 96.238 | -0.007 | 0.040 | 99.089 | 98.005 | -0.342 | 0.040 |
0.6 | 6 | 99.299 | 96.233 | -0.028 | 0.060 | 98.788 | 97.431 | -1.748 | 0.061 |
0.8 | 8 | 99.288 | 96.239 | -0.059 | 0.081 | 98.366 | 96.622 | -5.607 | 0.081 |
1 | 10 | 99.291 | 96.267 | -0.045 | 0.101 | 97.819 | 95.574 | -13.954 | 0.102 |
平行光線の半径 =0.001mmにおいて、
焦点距離(F) カタログ値=99.5mm 計算値=99.328mm
正方向後側焦点距離(Fb) カタログ値=96.4mm 計算値=96.247mm
逆方向後側焦点距離(Ff) カタログ値=98.7mm 計算値=98.463 mm
と若干の誤差が発生しています。
これは、光学ガラスがBK7からN-BK7に変わったことによる屈折率変化が
関係しています。(当初の設計はBK7で設計したと思われます。)
この程度の誤差は実用的には無視できます。
BK7の屈折率表は現在入手困難となっていますので、今後の検討は
N-BK7の屈折率表を用います。
- タイプA等倊光学系の配置
図32-2に示す寸法でレンズとNA絞りを配置すれば、タイプA等倊光学系の設計は完了です。
FbとFfの値は、計算値を使用しましたが、標準レンズの場合、あらかじめ計算値が公開されています
ので、カタログ値を使用しても問題はありません。
しかし、まだ検討上足の項目があります。
等倊光学系のフィールドサイズとNAが決定されていません。
この光学系がどの程度のフィールドサイズとNAにして問題ないかは、
詳細な光線追跡による評価が必要となります。
- タイプB等倊光学系の配置
図32-3に示す寸法でレンズとNA絞りを配置すれば、タイプB等倊光学系の設計は完了です。
FbとFfの値は、計算値を使用しましたが、標準レンズの場合、あらかじめ計算値が公開されています
ので、カタログ値を使用しても問題はありません。
しかし、まだ検討上足の項目があります。
等倊光学系のフィールドサイズとNAが決定されていません。
この光学系がどの程度のフィールドサイズとNAにして問題ないかは、
詳細な光線追跡による評価が必要となります。
33章:3次元光線追跡演習プログラムに行く。
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