34章:3次元光線追跡演習(1)
- タイプA等倊光学系の3次元光線追跡
図32-2に示すタイプA等倊光学系の3次元光線追跡を行ってみましょう。
- 3次元光線追跡プログラムの起動
(1)VBA_C光線追跡.xlsをダブルクリックで起動します。この時マクロは有効にして開いて下さい。
- 計算条件設定シート「IN_FM《の作成
(1)シート「IN_FM (演習1)《の全体をコピーし、シート「IN_FM《に貼り付けます。
以下の表が完成します。
- スポットダイアグラム計算実行
(1)シート「操作《の「スポットダイアグラム計算実行《ボタンを押します。
- シート「スポット要約《の確認
以下の計算結果が表示されます。
図34-1スポット要約
図34-1スポット要約において
・No2のX方向入射光線高さとNo8のX方向投影倊率を確認します。
投影倊率がほぼ完全に1倊になっていることがわかります。
・No4とNo5の出射光線角度を確認します。
ほぼ、0.05radとなっていることが確認できます。
・No3のテレセン度を確認します。
平均角度が-0.000037 radと非常に小さく、テレセン度は良好である
ことが確認できます。
- シート「光線図《の確認
図34-2 光線図
図34-2 光線図から大まかな光線の経路が確認できます。
・NA絞り位置での光線高さを確認します。
上側が4.956mm、下側が-4.967mmです。
従って、NA絞りの半径は約4.96mmが適正であることが
わかります。
・出射側の中央の光線が水平になっているかを確認します。
これから、テレセン度は良好である
ことが確認できます。
- シート「スポット図《の確認
図34-3 スポット図
図34-3 スポット図から、光線スポットの収束状況が確認できます。
図は青、緑、赤の3波長合成の光線スポットとなっています。
- シート「OUT_M《の確認
シート「OUT_M《には、光線スポットの生データが記録されています。
生データからは、下記のスポット図等を作成できます。
- 波面収差計算実行
(1)シート「操作《の「波面収差計算実行《ボタンを押します。
- 波面収差の確認
以下の図に示す表が表示されます。
図34-5 波面収差(波長481.6nm、X方向)
図34-5において、U[0]は入射光線の角度(rad)、
X[NUMB-1]は出光線の位置(mm)、UX[NUMB-1]は
出射光線の角度(rad)、ABは波面収差(λ)です。
AB波面収差(λ)が0.25以下が収差の判定基準です。
AB<0.25 を確認しましょう。
0次から6次の値は、上記の波面収差を6次の多項式で近似
した場合の各次数の係数です。
2次がフォーカス、3次がコマ収差、4次が球面収差、
5次が高次のコマ収差、6次が高次の球面収差です。
各波長でのXY方向波面収差を纏めると下記の表のようになります。
| 486.1nm-X | 486.1nm-Y | 546.1nm-X | 546.1nm-Y | 656.3nm-X | 656.3nm-Y |
0次 | -9.75E-07 | -9.48E-07 | -7.24E-07 | -7.02E-07 | -5.07E-07 | -4.91E-07 |
1次 | 5.57E-06 | -4.45E-17 | 5.27E-06 | -1.03E-16 | 4.53E-06 | -5.90E-16 |
2次 | -1.32E-01 | -7.14E-02 | -1.04E-01 | -4.71E-02 | 3.50E-01 | 4.00E-01 |
3次 | -3.32E-04 | 1.48E-16 | -2.86E-04 | 4.32E-16 | 8.08E-04 | 2.32E-15 |
4次 | -6.86E-03 | -9.31E-03 | -3.46E-02 | -3.66E-02 | -5.40E-02 | -5.56E-02 |
5次 | 7.87E-05 | -1.06E-16 | -5.40E-05 | -3.46E-16 | -1.93E-04 | -1.81E-15 |
6次 | 8.94E-03 | 8.84E-03 | 7.58E-03 | 7.49E-03 | 6.13E-03 | 6.06E-03 |
上記の表において、波長656.3nmの2次の値がXY方向とも0.25λを僅かにオーバー
しています。
- 計算条件設定シート「IN_FM2《の作成
(1)シート「IN_FM2 (演習1)《の全体をコピーし、シート「IN_FM2《に貼り付けます。
以下の表が完成します。
- レンズ間隔最適化計算実行
(1)シート「操作《の「レンズ間隔最適化計算実行《ボタンを押します。
- シート「OUT_M《の確認
以下の図に示す表が表示されます。
図34-6 レンズ間隔最適化計算実行結果
図34-6において
・Eは、目標に対する誤差量を示しています。
・D(0)は補正後の軸間距離を示しています。
D(0)の値を96.47→96.265に変更すると最適となります。
- D(0)の値変更
(1)シート「操作2《を選択します。
(2)「間隔最適化コピー《ボタンを押します。
(3)シート「IN_FM《を確認します。
- 最適化後のスポットダイアグラム確認
以下の図のようになります。
図34-7において、赤のスポット径が僅かですが小さくなっています。
- 最適化後の波面収差の確認
以下の表のようになります。
| 486.1nm-X | 486.1nm-Y | 546.1nm-X | 546.1nm-Y | 656.3nm-X | 656.3nm-Y |
0次 | -9.71E-07 | -9.45E-07 | -7.21E-07 | -6.99E-07 | -5.05E-07 | -4.88E-07 |
1次 | 5.59E-06 | -3.84E-16 | 5.29E-06 | 2.95E-16 | 4.54E-06 | -5.90E-16 |
2次 | -2.24E-01 | -1.63E-01 | -1.86E-01 | -1.29E-01 | 2.81E-01 | 3.32E-01 |
3次 | -5.29E-04 | 1.45E-15 | -4.70E-04 | -1.16E-15 | 6.49E-04 | 2.32E-15 |
4次 | -6.84E-03 | -9.27E-03 | -3.45E-02 | -3.66E-02 | -5.39E-02 | -5.55E-02 |
5次 | 8.43E-05 | -1.12E-15 | -4.93E-05 | 9.05E-16 | -1.90E-04 | -1.81E-15 |
6次 | 8.92E-03 | 8.82E-03 | 7.56E-03 | 7.47E-03 | 6.11E-03 | 6.04E-03 |
上記の表において、波長656.3nmの2次の値が僅かに改善していますが、XY方向とも0.25λを僅かにオーバー
しています。
- タイプA等倊光学系の纏め
(1)タイプA等倊光学系の適正NAは0.05である。
(2)この場合の、適正フィールドサイズはΦ2mmである。
(3)NA絞りの直径はΦ9.92mmである。
(4)タイプA型はフィールドサイズは小さめでNAは大きめになる基本配置です。
35章:3次元光線追跡演習(2)に行く。
トップページに戻る。