37章:ミラー+レンズの投影光学系の設計
- ミラー+レンズの必要性
広いフィールドサイズを有する高性能な投影光学系は、多波長で矛盾なく色補正するのが
大変難しいという課題があります。
このため、大フィールドサイズ高性能投影光学系は色補正無しで設計されるのが一般的です。
色補正無しの投影光学系は照明光源にレーザ以外を使用できません。
このため、装置コストの上昇、ランニングコストの上昇が避けられません。
これに対して、ミラーを使用すると原理的に色収差が発生しません。
ただし、ミラーだけですと大フィールドサイズで矛盾の無い光学設計ができません。
以上の欠点をカバーする技術がミラー+レンズ光学系です。
ただし、ミラーを使用する関係であまり大きなNAの設計は困難です。
しかし、大フィールドサイズで適度なNAの光学系を設計することが可能です。
- 設計波長と光学ガラスの選定
(1)設計波長
g線435.835nm、h線404.656nm、i線365.015nm
の3波長とします。
(2)光学ガラス
i線透過率の良い3種類の光学ガラスを選定しました。
株式会社 オハラの下記の光学ガラスを使用します。
材料吊 | g線屈折率 | h線屈折率 | i線屈折率 | 波長360nm透過率(板厚10mm) |
S-BSL7 | 1.52621 | 1.52977 | 1.53578 | 0.984 |
S-FPL53 | 1.44442 | 1.44645 | 1.44986 | 0.985 |
S-BAL42 | 1.59530 | 1.59972 | 1.60724 | 0.964 |
- ミラー+レンズ光学系の基本構成
図37-1にミラー+レンズ光学系の基本構成を示します。
図37-1において、結像は主に凹面鏡でおこなわれます。
このため、色収差の無い結像が可能となります。
凹面鏡で発生した収差がフィールド全面で無くなるように補正レンズ群で補正します。これでフィールド全面で良好な結像が得られるようになります。
ミラーは実装上の都合で挿入されます。ミラーにより、マスクと投影面の
関係が矛盾なく配置できます。視野分割ミラーはできるだけマスクと投影面に近い方が
フィールドサイズが広くなるため、このような配置になります。
- ミラー+レンズ光学系の設計値
(1)設計波長 :g線435.835nm、h線404.656nm、i線365.015nm
(2)NA :0.09
(3)フィールドサイズ :Φ100mm
で設計しました。
具体的な光学系仕様は図37-2を参照願います。
38章:ミラー+レンズの光線追跡に行く。
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