44章:集光レンズの設計
- 平凸レンズの設計
平凸レンズは、焦点距離をf、屈折率をN、曲率半径をR、レンズ半径をHr、最低必要レンズ厚さをt1とした場合、下記式で簡単に計算できます。
光学ガラスはS-BSL7、波長404.7nm、屈折率を1.52621
とします。
ここで
レンズ厚さ=8.1+α=15mm
とします。
- 平凸レンズの評価
下記表の条件で平凸レンズの特性を計算します。
レンズ計算条件入力表
No | 記号 | 値 | 説明 |
1 | Dia | 120 | レンズ直径(mm) |
2 | Tc | 15 | 中心厚(mm) |
3 | R0 | 227 | 曲率半径(mm) |
4 | N0 | 1.52977 | 屈折率 |
5 | NJ | 5 | 変数範囲の分割数 |
6 | WL | 404.7 | 設計波長(nm) |
計算結果を下記表に示します。
No | 0 | 0.2 | 0.4 | 0.6 | 0.8 | 1 |
平行光線の半径 H(mm) | 0.001 | 12 | 24 | 36 | 48 | 60 |
正方向焦点距離 F(mm) | 428.49 | 428.10 | 426.92 | 424.95 | 422.17 | 418.57 |
正方向後側焦点距離 Fb(mm) | 418.68 | 418.33 | 417.28 | 415.51 | 413.01 | 409.74 |
正方向波面収差 OL(λ) | 0.00 | -0.17 | -2.75 | -14.14 | -45.76 | -115.20 |
正方向出射角度 U(rad) | 0.00 | 0.03 | 0.06 | 0.08 | 0.11 | 0.14 |
逆方向焦点距離 F(mm) | 428.49 | 427.57 | 424.81 | 420.15 | 413.52 | 404.81 |
逆方向後側焦点距離 Ff(mm) | 428.49 | 427.08 | 422.85 | 415.73 | 405.59 | 392.26 |
逆方向波面収差 OL(λ) | 0.00 | -0.68 | -11.16 | -58.53 | -194.59 | -508.36 |
逆方向出射角度 U(rad) | 0.00 | 0.03 | 0.06 | 0.09 | 0.12 | 0.15 |
- 集光レンズの配置寸法
上記計算結果のFb、Ffの値を参考に下記図の寸法で配置します。
集光レンズレンズの直径は
Φ120 mm
です。
- 照明面の光源像
どのような像ができるかは、単純計算が難しいため、光線追跡によるシミュレーションを行います。
光源は直径3mm、高さ3mmの円筒形を仮定します。
フライアイレンズは上記の仕様で複数個配置します。
照明σ絞りの直径はΦ60mmとします。
集光レンズは上記の仕様で配置します。
光源から多数の光線を発射し、一定の領域内に入った光線の数を数えます。十分な精度はありませんが、おおまかな傾向が把握できます。
図44-2に照明面の(5mm/div)での照度分布を示します。
図44-2 照明面の照度分布(5mm/div)
図44-3に照明面の(0.01rad/div)での照度分布を示します。
図44-3 照明面の光線角度分布(0.01rad/div)
発射光線数=31718
透過光線数= 30066
透過率= 90.2%
平均照度=128本
全出力=223W
照度の目盛=5mm/div
であり、
平均照度= 111.5×128×4/33328=1.7W/cm2 となります。
- 反射率・透過率による搊失
実際の光学系では、反射、透過での光の搊失があります。
搊失量は、コーティング仕様、光学ガラスの特性、レンズの厚さ、枚数等
あり、正確に計算することはかなり厄介です。
どんぶりですが、約半分は搊失すると仮定しますと
照明面照度=0.9W/cm2
程度が得られるとおもわれます。
- 照明σ値の推定
もし、瞳上の照度分布が均一でしたら
σ=照明NA/投影光学系NA=0.07/0.09=0.78
と単純計算ができます。
今回設計した照明光学系の瞳上の照度分布は
図44-3 照明面の光線角度分布(0.01rad/div)
に示すようにガウス分布です。
大まかですが、照明σ値は0.5程度と思われます。
- 照明光学系設計まとめ
設計した照明光学系のフィールドサイズは72mm×36mmで約26cm2です。
照度は約0.9Wcm2程度と思われます。
従って、照明出力は23.4Wということになります。
入力消費電力は2000Wですから、効率1.2%ということになります。
ずいぶんと効率が悪いと思われがちですが、単色光の投影光学系では
さらに1/5程度になります。
本3波長投影光学系と本照明光学系の組み合わせの性能は、最高レベルの
フィールドサイズと照度の性能をもっています。
45章:照明光学系シミュレータに行く。
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