46章:ミラー+レンズの投影像計算
- 46章:ミラー+レンズの波面収差を考慮した投影像計算
(1)投影パターン □5μm、配列ピッチ12.5μm(XY方向とも)
(2)NA 0.09
(3)照明σ 0.5
(4)フォーカス ベストフォーカス
(5)計算ピッチ 0.25μm(データ分割数50となります。)
(6)波長 435.8nm 404.7nm 365nmの3波長
(7)像高 50mm 40mm 30mm 20mm 10mm の5種類
(8)波面収差 38章:ミラー+レンズの光線追跡の値を使用します。
上記の条件で5×3=15通りの計算を実行します。
- 像高 50mmの投影像
- 像高 40mmの投影像
- 像高 30mmの投影像
- 像高 20mmの投影像
- 像高 10mmの投影像
- 波面収差を考慮した投影像計算まとめ
(1)実際の投影像は、波長435.8nmと404.7nmと365nmの3波長の平均となります。
(2)ミラー+レンズ投影光学系はΦ100mmの半円領域で
□5μmホールパターンを良好に解像します。
(3)最も収差の影響が大きいのは像高50mmでの波長365nmです。
- 波面収差を考慮した投影像計算条件ファイルのダウンロード
下記の演習プログラムをダウンロードすると上記の演算が
簡単に設定できます。
ダウンロード後はダブルクリックで解凍してから使用してください。
波面収差を考慮した投影像計算条件ファイルをダウンロードする。
動作条件としては
C:\Program Files\VBA_C_OPTICS\VBA_C投影露光.dll
C:\Program Files\VBA_C_OPTICS\IN_FM.txt
が存在する必要があります。
ファイルの使用方法
(1)シート[波面収差一覧]を選択し、目的の像高、波長の計算パラメータをコピーします。
(2)シート[IN_FM]を選択し、計算パラメータを貼り付けます。
(3)シート[操作]を選択し、[計算実行]ボタンを押します。
(8)シート[投影像・図]に計算結果が表示されます。
- 後書き
偶然のことなのですが、長期間にわたり光学応用の担当したため
光学の知識が必要となりました。
具体的には、半導体リソグラフィー用露光装置に関する仕事を担当
しました。
[光の上思議と応用]で紹介した計算プログラムは膨大な時間をさいて
個人的に検討作成したプログラムです。
個人的にプログラム作成のきっかけとなったのはApple社のMac-LC2です。
当時、Macの優れた操作性に感激し、当時としては高価なパソコンを購入して
しまいました。
せっかく、パソコンを購入したので、計算ソフトも組んでみたくなり、秋葉原に
ベイシックのソフトを買いに行きました。
ところが、ベイシックのソフトは見つからず、SYMANTEC社のTHINK-Cを買って
自宅に帰りました。
ところが、あれほど使い勝手のよいMacなのですが、プログラムを作成しようと
すると驚くほど難解でした。
入出力に関する部分のプログラムが難解すぎて、肝心の計算部分にたどりつか
ないのです。Macプログラミングに関する参考書を山のように買って、簡単なプログラム
が作れるようになるまで数ヶ月の期間が必要でした。
ところが、Mac-LC2でフーリエ変換の演算を実行してみると、ロック状態となって
現実的な時間内に答えがでてこないのです。
フーリエ変換の演算が可能となったのは、CPUをPower PCに変更してからでした。
Power PC専用のコンパイルを実行し、フーリエ変換の演算結果が出たときは感激しました。
その後、ファイル互換性の関係でMicrosoft社Windowsに変更しました。
Microsoft社の優れた事業戦略により、パソコンOSの標準がWindowsと
なっていったためです。
Windowsのよい点は、ソフト開発用のツールが充実している点です。入出力の
基本部分をよく理解しなくとも、ツールがサポートするためなんとなくできてしまいます。
ただし、よく理解しないで作った部分は、思い通りには変更できません。
パソコンの性能向上と半導体リソグラフィーとは切っても切れない関係にあります。
半導体のパターンサイズを小さくすればするほど、演算速度は向上し、消費電力は小さくなります。
このため、半導体リソグラフィーは常に微細化の検討をし続けてきました。
しかし波動光学の理論は早い時期から、微細化に限界があることを教えてくれていました。
近年では、僅かな微細化でも膨大な投資が必要となってしまいます。膨大な投資は製造コストを
押し上げるため、回収が難しくなります。
今後の方向としては、微細化工程を限定し露光装置のミックス&マッチによるコスト低減が
必要となるでしょう。
半導体回路の占有体積でみると、アクティブに動作する部分は極僅かであり、ほとんどの体積は
配線で占められています。
多層配線や実装配線の工程に限定すれば、微細なパターンは必要とされません。
ミラー+レンズの投影光学系で解像度は十分なのです。
広いフィールドサイズと高い照度の光学系は、製造コスト低減に有効です。
紹介した、ミラー+レンズの投影光学系は実在する光学系ではありません。
ただし、設計上可能な光学系です。
ゲート工程のようにどうしても微細化したい工程はどうしましょか?
私の個人的見解ですが、微細化とコストの課題を満足する技術として
ナノインプリント技術
が有望だと思っています。
それから、ここで紹介したプログラムは自由に使ってもらって問題はありません。
ただし、プログラムの動作等に関する保障はありません。
プログラムを作る時は、熱中して作るわけですが、しばらく使わないソフトは使い方
まで忘れてしまうことがしばしばです。
最低限の使用方法については、[光の上思議と応用]で紹介したとおりです。
トップページに戻る。