8章:OR・AND・マトリクス回路
作成2014.01.09
ダイオードを応用した回路として、OR・AND・マトリクス回路があります。
OR回路
評価したOR回路を図8-1に示します。SW1とSW2をON/OFFした時のCh1、Ch2、Ch3点の電圧変化を観察しました。
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(1)SW1をON/OFFした場合の電圧変化
SW1をON/OFFした場合の各点の電圧変化を図8-2に示します。
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図8-2から、ON/OFF時とも電圧変化は1〜2msで完了しており、この条件において時間遅れの問題はなさそうです。
Ch3(LED赤)の電圧は、供給電圧5.2Vに対して、2.42Vから2.12Vに変化します。なぜ?こうなるか?検討してみたいと思います。
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図8-3に電圧計算モデルを示します。図8-3においてVdはダイオードの障壁電圧、Rdはダイオードの抵抗値とします。
図8-3から以下の関係式が成立するはずです。
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すなわちI3が求まれば、Ch3の電圧が決定できます。(8.1)式を変形して
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となり、実測値2.42Vに近い計算結果を得ます。
同様にSW1がONした時のCh3の電圧は
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となり、実測値2.12Vに近い計算結果を得ます。ダイオードの障壁電圧Vdと抵抗値Rdは直線近似の概略値であり、実測とわずかな誤差が生じるのはやもえません。(大まかな値が求まれば良しとします。)
(2)SW2をON/OFFした場合の電圧変化
SW1をON/OFFした場合の各点の電圧変化を図8-4に示します。
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この場合も、CH3の電圧は2.115Vとなり、LEDが点灯します。
(3)SW1とSW2を同時にON/OFFした場合の電圧変化
SW1とSW2を同時にON/OFFした場合の電圧変化を図8-5に示します。
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この場合、CH3の電圧は0から0.94Vの変動電圧となり、LEDは点灯しません。この条件において、簡易オシロの入力抵抗は推奨の10KΩを大きく上回るので、ノイズの影響を受けやすくなると思われます。
これは、簡易オシロの特性に起因する現象と思われます。
LEDの変化をみれば、SW1とSW2を同時にONしたときのみにLEDは消灯し、その他の条件では点灯します。したがってOR回路として正常に動作していることが確認できます。
AND回路
評価したAND回路を図8-6に示します。SW1とSW2をON/OFFした時のCh1、Ch2、Ch3点の電圧変化を観察しました。
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(1)SW1をON/OFFした場合の電圧変化
SW1をON/OFFした場合の各点の電圧変化を図8-7に示します。
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図8-7からSW1をONしたとき、CH3の電圧は2.14Vから0.73Vに低下し、LEDは消灯することが確認できます。
(2)SW2をON/OFFした場合の電圧変化
SW2をON/OFFした場合の各点の電圧変化を図8-8に示します。
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図8-8からSW2をONしたとき、CH3の電圧は2.14Vから0.65Vに低下し、LEDは消灯することが確認できます。
(3)SW1とSW2を同時にON/OFFした場合の電圧変化
SW1とSW2を同時にON/OFFした場合の電圧変化を図8-9に示します。
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図8-9からSW1とSW2を同時にONしたとき、CH3の電圧は2.14Vから0.64Vに低下し、LEDは消灯することが確認できます。
LEDの変化をみれば、SW1とSW2を同時にOFFしたときのみにLEDは点灯し、その他の条件では点灯します。したがってAND回路として正常に動作していることが確認できます。
マトリクス回路
評価したマトリクス回路を図8-10に示します。SW1とSW2とSW3をON/OFFした時のCh1、Ch2、Ch3点の電圧変化を観察しました。
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(1)SW1をON/OFFした場合の電圧変化
SW1をON/OFFした場合の各点の電圧変化を図8-11に示します。
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図8-11において、スイッチがOFF状態のとき、入力抵抗が大きくノイズがのりますが、SW1をONするとCH1だけが5.03Vに変化してLED1が点灯します。
(2)SW3をON/OFFした場合の電圧変化
SW3をON/OFFした場合の各点の電圧変化を図8-12に示します。
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図8-12において、スイッチがOFF状態のとき、入力抵抗が大きくノイズがのりますが、SW3をONするとCH1が3.9V、CH2が4.5V、CH3が5Vに変化
してLED1、LED2、LED3が点灯します。
結果の検討
(1)OR回路、AND回路、マトリクス回路とも電圧変化は1〜2msで完了しており、本評価条件において時間遅れの問題はない。
(2)入力抵抗が大きくなる条件において、簡易オシロはノイズがのりやすく正確な値を示さない。
(3)図8-3においてVdはダイオードの障壁電圧、Rdはダイオードの抵抗値として、回路の電圧変化を近似的に計算できる。
(4)OR回路、AND回路、マトリクス回路とも正常に動作する。
9章:CR回路に行く。
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