11章:WIFI制御自動彫刻機の製作

    作成2015.10.23

  1. 自動彫刻機の原型
     MPLAB_X_IDE_v2.25とPIC18F4553マイコンの復習の3次元パソコン制御ルータ加工機の製作(22章〜24章)で製作した自動彫刻機を改造しました。
     原型ではUSB送受信を使用しまましたが、設置場所がUSBケーブルの長さに制約されます。(パソコンがノート型なら移動が容易ですが、デスクトップ型の移動は面倒です。)
     送受信部分をWi−Fiモジュール ESP−WROOM−02 DIP化キットに変更します。


  2. 加工用DCモータの変更
     加工工具は先端軸径:直径2.35mmのダイヤモンドビットを使用しているのですが、加工物の素材によっては、より大きなトルクを必要とする場合があります。
     多種の素材に対応するため、DCモータをDCモーター RE−280RA−2865からDCモーター RS−385PH−4045に変更しました。
    DCモーター RS−385PH−4045主な仕様は以下の通りです。
    ・電圧範囲:3.0〜9.0VDC(標準6.0V)
    ・無負荷時電流:0.48A(0.62Amax)
    ・無負荷時回転数:12100回転/分(±10%)
    ・負荷電流:2.7A(3.5Amax)
    ・定格負荷時回転数:10300回転/分(±10%)
    ・負荷:90g.cm
    ・負荷出力:9.5W
    ・効率:60%
    ・静止電流:15A
    ・静止トルク:610g・cm
    **電源電圧6V、最大電流4Aの電源が必要です。


  3. 加工DCモータ用電源回路
     加工DCモータ用電源回路を以下のように変更しました。





  4. 加工DCモータ用電源回路外観
     加工DCモータ用電源回路外観を以下に示します。





  5. ダイヤモンドビット与圧調整重りの設置
    加工物の素材によってダイヤモンドビット与圧を調整する必要があるため、重りによる調整を可能にしました。


  6. ESP−WROOM−02用電源回路
     ESP−WROOM−02用電源回路を以下に示します。





  7. ブレークアウトボードのピン設定
    (1)ENピン:(Chip Enable.)→Highに設定します。
    (2)GPIO-15ピン:(Type I/O MTDO;HSPI_CS; UART0_RTS)→Lowに設定します。
    (3)GPIO-2ピン:(Type I/O UART Tx during flash programming)→Highに設定します。
    (4)GPIO-0ピン:(Type I/O SPI_CS2)→Highに設定します。
    (5)TXピン:(Type I/O GPIO-1)→通信相手のRXに接続
    (6)RXピン:(Type I/O GPIO-3)→通信相手のTXに接続
    (7)3V3ピン:→3.3V電源供給
    (8)GNDピン:→アース
    と設定します。


  8. ESP−WROOM−02用電源回路外観
     ESP−WROOM−02用電源回路外観を以下に示します。





  9. PIC18F4553用ソースプログラム
    今回はUSB通信無しとしたため、ソースプログラムはnewmain.cのみの単純構造となりました。
     また、AT+CWJAP="SSID","password"のコマンド送信は1度実行すると記録されているため、省略しました。
     詳細は下記の11-1.txtファイルを参照願います。
    [11-1.txt]をダウンロードする。

    注(1)上記ソースプログラムには割込み処理として、シリアル受信処理とタイマー0割込み処理が設定されていますが、タイマー0割込み処理は使用していません。


  10. TCPサーバプログラム
     7章:TCPサーバプログラム自作の検討(3)[7-1.zip]に修正を加えました。
     修正プログラムは以下からダウンロードできます。
    [11-1.zip]をダウンロードする。

    解凍するとMyTcpListener-3フォルダーがあります。フォルダー内に
    (1)MyTcpListener.sln等のソースファイル群
    (2)MyTcpListener-3.exe:実行ファイル
    (3)フォントフォルダー(加工用ビットマップファイル)
    があります。

    注(1)XYZの移動機構は木工細工の自家製です。
    注(2)XYZの移動機構は剛性が無く摩擦が大きい欠点があり、バックラッシュが大きい問題があります。
    注(3)上記欠点をカバーするため、位置決めは必ず一方向から行う必要があります。
    注(4)WIFI無線通信の成功率は100%ではありません。
    注(5)WIFI無線通信で指令を実施した場合、指令が届かない場合と応答が届かない場合があります。
    注(6)バックラッシュとWIFI無線通信の失敗を考慮したプログラムにする必要がありました。
    注(7)上記を考慮したプログラムは思いのほか大変でした。


  11. 操作方法
    **基本的な手動操作はMPLAB_X_IDE_v2.25とPIC18F4553マイコンの復習の3次元パソコン制御ルータ加工機の製作(24章)と同じです。
    (1)WIFI制御自動彫刻機のハードの電源をONします。
    (2)MyTcpListener-3.exeをダブルクリックで起動します。
    (3)接続ボタンを押します。
    (4)WIFI制御自動彫刻機の押しボタンSW1を押します。
    (5)接続が完了して以下のようになります。



    (6)加工物をXYステージ上に固定して、Zサーチボタンを押します。
    (7)以下のような受信データで完了を確認します。
    AD	2912
    MC	0	0	500
    AD	2914
    MC	0	0	520
    AD	2878
    MC	0	0	540
    AD	2815
    MC	0	0	560
    AD	2814
    MC	0	0	580
    AD	2800
    MC	0	0	600
    AD	2786
    MC	0	0	620
    AD	2759
    MC	0	0	640
    AD	2706
    END
    

    (8)加工実行ボタンを押すとオープンファイルダイアログが表示されます。
    (9)加工のテンプレートとなるビットマップファイル「A.bmp」を選択し、開くと加工が実行されます。



    (10)加工完了後の受信データは以下となります。
    *II=0が加工ポイント、II=765が加工しないポイントです。
    *Zの値は加工高さです。
    X	Y	II
    0	0	0
    1	0	765
    2	0	765
    3	0	765
    4	0	0
    0	1	0
    1	1	765
    2	1	765
    3	1	765
    4	1	0
    0	2	0
    1	2	0
    2	2	0
    3	2	0
    4	2	0
    0	3	0
    1	3	765
    2	3	765
    3	3	765
    4	3	0
    0	4	0
    1	4	765
    2	4	765
    3	4	765
    4	4	0
    0	5	0
    1	5	765
    2	5	765
    3	5	765
    4	5	0
    0	6	765
    1	6	0
    2	6	0
    3	6	0
    4	6	765
    
    i	j	gZ0
    0	0	660
    4	0	660
    0	1	660
    4	1	640
    0	2	640
    1	2	680
    2	2	660
    3	2	680
    4	2	660
    0	3	660
    4	3	660
    0	4	660
    4	4	660
    0	5	680
    4	5	660
    1	6	660
    2	6	660
    3	6	660
    


  12. 加工事例
    (1)素材は透明アクリル板t2mmとしました。
    (2)ダイヤモンドビットでアクリル板を加工する場合、与圧を大きくしすぎると摩擦熱でアクリル板が溶解するトラブルが発生しました。
    (3)与圧を最適化することにより加工できました。
    (4)加工事例を以下に示します。








  13. WIFI制御自動彫刻機の製作まとめ
    (1)久しぶりに3次元パソコン制御ルータ加工機を動かしました。
    (2)前回は素材にアルミ板を使用したのですが、ダイヤモンドピッドでの加工性が悪く、加工に時間がかかったのを思いだしました。
    (3)そこで、今回はDCモータをパワーアップして、トルクを増大し、与圧も重りを載せて調整できるようにしました。
    (4)今回選択したのは、透明アクリル板ですが、与圧を大きくして高トルクで加工すると摩擦熱でアクリル板が溶けてしまう問題が発生しました。
    (5)従って、ほどほどの与圧で加工しました。
    (6)ESP−WROOM−02は外部との接続配線数が4本のみですので、簡単に外付けで追加できました。
    (7)PIC18F4553マイコンのソースプログラムはUSB通信を使用しないため、newmain.cのみの単純構造となりました。
    (8)Windows側のTCPサーバソフトは、通信の応答確認が必要となったため、思いのほか苦労しました。
    (9)WIFI制御化により、USBケーブル長さの制限から開放されました!!




12章:ESP-WROOM-02のファームウエア書き換え方法の検討に行く。

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