11章:脱水縮合

  1. 脱水縮合一般
     脱水縮合は分子と分子から水(H2O)が離脱することに より分子と分子が結合する反応のことです。

     一番身近な脱水縮合の例としては、でんぷん糊があります。  でんぷん糊はでんぷんに水を加え加熱してかきまわすと出来上がります。
     純和風建築の内装で用いられる障子紙の貼り付けに最適です。 障子の枠は通常木材で作られます。木材はセルローズでできておりブドウ糖が 結合したのもです。
     障子紙セルローズでできておりブドウ糖が結合したのもです。
     でんぷん糊もブドウ糖が結合したのもです。ただし、でんぷん糊の ブドウ糖の水酸基(OH基)は水と良く混ざった状態でゲル状です。

     障子枠にでんぷん糊をつけ、障子紙を貼って乾燥させるとブドウ糖の水酸基(OH基) から水(H2O)が離脱し結合します。
     障子枠も障子紙もでんぷん糊も主成分はブドウ糖ですので強固に結合します。
     障子紙を剥がしたい場合は、大量の水につけると加水分解して結合が解除されます。
     この特性から、でんぷん糊は障子紙の貼り付けに最もてきした材料です。


     2番目の脱水縮合の例としては、シール剤として用いられる1液性のシリコーンが あります。隙間に1液性のシリコーンを充填し乾燥させるとシリコンゴムで隙間を ふさぐことができます。

     3番目の脱水縮合の例としてはベークライトの合成があります。
     ベークライトはベルギー生まれのアメリカ人化学者、レオ・ヘンドリック・ベークランドが1907年に発明、フェノール(石炭酸)とホルマリンによって作り出されたものです。

     4番目の脱水縮合の例としてはポリエステルの合成があります。
     エステル (ester) は、有機酸または無機酸のオキソ酸とアルコールまたはフェノールのようなヒドロキシル基を含む化合物との縮合反応で得られる化合物である。単にエステルと呼ぶときはカルボン酸とアルコールから成るカルボン酸エステル(carboxylate ester)を指すことが多く、カルボン酸エステルの特性基 (R-COO-R') をエステル結合(ester bond)と呼ぶ事が多い。エステル結合による重合体はポリエステル(polyester)と呼ばれる。
     この定義からすれば、ポリエステルの種類は多様であることがわかります。

     以上は脱水縮合の一例であり、さまざまな有機材料が脱水縮合により合成できます。



  2. ポリエチレンテレフタレート (PET) の合成
     ポリエチレンテレフタレート (PET)はペットボトルの材料として 大量にもちいられています。
     PETの合成メカニズムを図11-1に示します。

     PETはテレフタル酸とエチレングリコールの脱水縮合により合成 されます。
     水酸基(OH基)は電荷分布(極性)をもつため引き合います。 こので水を蒸発させるエネルギーが加わると水が蒸発して 結合します。
     結合の結果はエステル結合となりますので、ポリエステルに分類されます。
     
     

  3. pクレゾール・ノボラック樹脂の合成
     pクレゾール・ノボラック樹脂の合成を図11-2に示します。

     クレゾール・ノボラック樹脂はアルカリ水溶液への溶解性が良く、耐ドライエッチ 性が良いため半導体用ポジレジストのベース材料として使用されています。

     クレゾールにはo、m、pの3通りのタイプがあります。 これとホルムアルデヒドを反応させるとクレゾール・ノボラック樹脂 が合成されます。
     クレゾール・ノボラック樹脂は分子構造的にベンゼン環が多く、水酸基と メチル基がついているのが特徴的です。 これらの構造がアルカリ水溶液への溶解性が良く、耐ドライエッチ 性を与えていると思われます。




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