12章:ラジカル重合(1)

  1. 水素ガスと酸素ガスの反応
     水素ガスと酸素ガスの反応で水(H2O)となるのは ラジカル重合です。

  2. 生成熱と結合エネルギー
     主な結合の結合エネルギーを表12-1に示します。
     表12-1において、エネルギー単位をkJ/mol、J/個、eV/個の 3通りで示しています。

     表12-1から水素ガスの結合エネルギーは432kJ/mol、酸素ガスは494kJ/mol です。
     従って、水素ガス2個+酸素ガス1個の結合エネルギーは1358kJ/mol となります。

     同様に水(H2O)の結合エンルギーは459×2kJ/molです。
     水(H2O)2個の結合エンルギーは459×4=1836kJ/molです。

     この反応で発生するエネルギーは1836-1358=478kJ/molです。
     
     

  3. HとOのラジカル発生確率
     HとOにラジカル発生確率を図12-1に示します。

     H-Hの結合エネルギーとO=Oの結合エネルギーが フェルミーディラック分布関数の禁制帯エネルギーに等しいとして ラジカル発生確率を計算すると図12-1に示すとおりとなります。

     H-H結合、O=O結合とも常温25℃ではラジカル発生確率は 極めて小さく、反応が起こらないことが予想されます。

     高温になるとラジカル発生確率は高くなり、H-O-Hの結合反応が 起こります。 一度、H-O-Hの結合反応が起こると478kJ/molのエネルギーが発生し 、温度が加速度的に上昇するため連鎖反応が起こり爆発にいたります。




       水素ガスと酸素ガスの反応はラジカル重合の代表的な例であり、 一度ラジカル重合が起こると反応エネルギーで温度が上昇し、 連鎖反応を起こす特性があります。
     この反応は通常短時間で完了します。

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