13章:ラジカル重合(2)
- ビニル基の反応
ビニル基の反応を図13-1に示します。
図13-1においてRは任意の分子構造を示します。
炭素の2重結合の結合エネルギーは590kJ/molです。
これにエネルギーが加わってラジカルに変化し、炭素の1重結合
に変化した場合の結合エネルギーは
368×2=736 kJ/mol
です。従ってこの反応により
736-590=146 kJ/mol
のエネルギーが放出され、温度が上昇し反応の連鎖が発生します。
- アクリレート基の反応
アクリレート基の反応を図13-2に示します。
図13-2においてRは任意の分子構造を示します。
アクリレート基はビニル基の一種です。
C=C結合の後にC=O結合が配置されています。
C=O結合は779kJ/molの強い結合で電荷分布(極性)
を持ちます。
この構造は強烈なラジカル重合反応性をしめします。
C=O結合がラジカルの発生を促進していると思われます。
- メタクリレート基の反応
メタクリレート基の反応を図13-3に示します。
図13-3においてRは任意の分子構造を示します。
メタクリレート基はアクリレート基の一部変更です。
C=C結合のCに結合した水素のかわりにメチル基がついて
います。
この構造は穏やかななラジカル重合反応性をしめします。
メチル基がラジカルの発生を阻害していると思われます。
- アリル基の反応
アリル基の反応を図13-4に示します。
図13-4においてRは任意の分子構造を示します。
アリル基はビニル基の一種です。
C=C結合の後にH-C-H結合が配置されています。
H-C-H結合は電荷分布(極性)
を持ちません。
この構造は微弱なラジカル重合反応性をしめします。
C=O結合がないためラジカルの発生を促進できないためと思われます。
- ラジカル反応性有機材料の種類
ラジカル反応性有機材料は数百種類以上存在します。
また、ラジカル反応性有機材料は任意の割合で自由に混合できます。
従って、混合も含めると膨大な種類のラジカル反応性有機材料を
調合することが可能です。
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