14章:ラジカル重合(3)
- 重合禁止剤
ラジカル反応性有機材料は保管中の反応を防止するため
ラジカル重合禁止剤を混ぜてあります。
主なラジカル重合禁止剤は
ヒドロキノン(HQ) cas No 123-31-9
メチルヒドロキノン(MEHQ) cas No 95-71-6
です。
- ヒドロキノン(HQ)の反応
ヒドロキノン(HQ)の反応を図14-1に示します。
ヒドロキノン(HQ)はベンゼン環に水酸基(OH基)が2個付いた
構造をしています。
ベンゼン環は6個の電子をリング状に共有しており、光エネルギー
を良く吸収します。
エネルギーが加わると水素ラジカル2個を放出し、ベンゾキノンに
変化します。ベンゾキノンでは6個の電子のうち2個を酸素との二重
結合のため提供します。このためリング状共有ではなくなります。
放出された2個の水素ラジカルはラジカル化した反応性有機材料と
結合し、反応性有機材料どうしの結合を阻害します。
また、ベンゾキノンは水素ラジカルと反応し元のヒドロキノン(HQ)に
戻る性質があります。
- メチルヒドロキノン(MEHQ)の分子構造
メチルヒドロキノン(MEHQ)の分子構造を図14-2に示します。
メチルヒドロキノン(MEHQ)はヒドロキノン(HQ)にメチル基が
ついた分子構造をしています。
メチル基が付くことにより、反応性有機材料との溶解性が
変化します。
反応性有機材料どうしの結合を阻害する原理はヒドロキノン(HQ)
と同じです。
15章:ラジカル重合(4)に行く。
トップページに戻る。