21章:ナノインプリントの原理
- ナノインプリントの原理
ナノインプリントの原理はきわめて単純です。
微細な型を使ってレジストを型の形に成型すれば完了です。
- ナノインプリントの概略フロー
図21-1にナノインプリントの概略フローを示します。
型のことをスタンパともいいます
スタンパはまず、表面活性化処理を行います。
次に離型剤に浸漬・リンスを行います。
そして、脱水ベーク処理を行いますと離型処理が完了
します。
被転写基板はまず、表面活性化処理を行います。
次にカップリング剤に浸漬・リンスを行います。
そして、脱水ベーク処理を行いますとカップリング処理が完了
します。
次に、レジストを塗布するわけですが、スピンコート法がお勧めです。
なぜなら、スピンコート法がもっとも均一な膜厚でレジストを塗布できる
からです。
レジストを塗布の後、希釈剤蒸発ベークを行います。
膜厚最適化のためには希釈剤が必要ですが、パターンを
形成するために希釈剤が悪影響するためです。
この後、スタンパと被転写基板を重ねて加圧し、紫外線を露光
します。
これで微細なパターンが形成されます。
最後に、スタンパと被転写基板を剥離すると転写完了です。
剥離後、スタンパは繰り返し使用されます。
- ナノインプリントの応用戦略
ナノインプリントは高度のアライメント精度の要求が無い場合、
簡単な設備で20nm程度の微細パターンを容易に転写できます。
高度のアライメント精度を必要としない分野では、ナノインプリントは
すでに実用レベルに達しています。
あるいは、特定分野ではすでに実用化しており、オープンに
なっていない可能性が高いです。
すべての内容がオープンになってしまうと、ナノインプリントは
どこでもできてしまうのです。
これからの事業は秘密のノウハウが不可欠です。
どこでも同じものができてしまうと単純に価格競争となります。
価格競争に対して、日本はとても弱いのです。
その最大の事例は半導体事業や液晶ディスプレイです。
価格競争に敗れて大きなダメージを受けました。
例えば、ナノインプリント用のレジストの調合方法を秘密のノウハウ
とし公開しなかったらどうでしょう?
ナノインプリント用のレジストを販売もせず、公開もしなかったら
、ほかでは同じものを製造できなくなります。
これが私の提案です。
ナノインプリントと有機材料の原理を理解するための情報は
公開しましたが、具体的な条件の記載はできるだけさけました。
具体的な条件はそれぞれで検討してもらいたいと思います。
そして、検討した具体的な条件は公開をさけたほうが賢いです。
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