21章:ナノインプリントの原理

  1. ナノインプリントの原理
     ナノインプリントの原理はきわめて単純です。  微細な型を使ってレジストを型の形に成型すれば完了です。


  2. ナノインプリントの概略フロー
       図21-1にナノインプリントの概略フローを示します。

     型のことをスタンパともいいます
     スタンパはまず、表面活性化処理を行います。
     次に離型剤に浸漬・リンスを行います。
     そして、脱水ベーク処理を行いますと離型処理が完了 します。

     被転写基板はまず、表面活性化処理を行います。
     次にカップリング剤に浸漬・リンスを行います。
     そして、脱水ベーク処理を行いますとカップリング処理が完了 します。

     次に、レジストを塗布するわけですが、スピンコート法がお勧めです。 なぜなら、スピンコート法がもっとも均一な膜厚でレジストを塗布できる からです。

     レジストを塗布の後、希釈剤蒸発ベークを行います。 膜厚最適化のためには希釈剤が必要ですが、パターンを 形成するために希釈剤が悪影響するためです。

     この後、スタンパと被転写基板を重ねて加圧し、紫外線を露光 します。 これで微細なパターンが形成されます。

     最後に、スタンパと被転写基板を剥離すると転写完了です。

     剥離後、スタンパは繰り返し使用されます。



  3. ナノインプリントの応用戦略
     ナノインプリントは高度のアライメント精度の要求が無い場合、 簡単な設備で20nm程度の微細パターンを容易に転写できます。

     高度のアライメント精度を必要としない分野では、ナノインプリントは すでに実用レベルに達しています。
     あるいは、特定分野ではすでに実用化しており、オープンに なっていない可能性が高いです。

     すべての内容がオープンになってしまうと、ナノインプリントは どこでもできてしまうのです。
     これからの事業は秘密のノウハウが不可欠です。

     どこでも同じものができてしまうと単純に価格競争となります。
     価格競争に対して、日本はとても弱いのです。 その最大の事例は半導体事業や液晶ディスプレイです。 価格競争に敗れて大きなダメージを受けました。

     例えば、ナノインプリント用のレジストの調合方法を秘密のノウハウ とし公開しなかったらどうでしょう?
     ナノインプリント用のレジストを販売もせず、公開もしなかったら 、ほかでは同じものを製造できなくなります。

     これが私の提案です。 ナノインプリントと有機材料の原理を理解するための情報は 公開しましたが、具体的な条件の記載はできるだけさけました。
     具体的な条件はそれぞれで検討してもらいたいと思います。
     そして、検討した具体的な条件は公開をさけたほうが賢いです。

22章:後書きに行く。

トップページに戻る。