5章:pHと電気抵抗の実測
- 測定条件
市販の培養土は、植物を育てるのに最適化した土壌です。
鉢植え等少量の使用に関しては、培養土を使用するのが
手軽です。
ポトス、ブーゲンビリア、くわずイモ、イモ系観葉、ラン1
、ラン2、ハイビスカスは越冬のため鉢植えにしています。
上記の植物を市販の培養土に植え替えてpHと電気抵抗の実測
を行いました。
比較のため、庭の畑も1点測定しました。
- pH実測結果
月日 |
9月24日 |
9月25日 |
9月26日 |
時刻 |
10:00 |
10:40 |
17:00 |
水温 |
18℃ |
16℃ |
18℃ |
No |
土壌名 |
pH |
pH |
pH |
1 |
ポトス |
6 |
6 |
5.3 |
2 |
ブーゲンビリア |
6.1 |
6.1 |
5.3 |
3 |
くわずイモ |
5.2 |
5.8 |
5.1 |
4 |
イモ系観葉 |
5 |
5.4 |
5 |
5 |
ラン1 |
5 |
5.6 |
6.4 |
6 |
ラン2 |
4.8 |
5 |
4.9 |
7 |
ハイビスカス |
5.1 |
5.8 |
5.2 |
|
培養土平均 |
5.35 |
5.67 |
5.31 |
8 |
畑 |
5.5 |
5.2 |
5.3 |
培養土平均も畑もpH5.5程度の酸性でした。
培養土はpH6.8±0.5に調整の記載がありましたが
一致しませんでした。
全部培養土に換えたわけではなく、培養土を追加したため
pH6.8±0.5とならなかったのかもしれません。
あるいは水道水がpH5.8のため、水道水の影響が
強いのかもしてません。
水道水の影響が強いとなると、pH6.8±0.5の管理は
難しいですね。
- 電気抵実測結果
月日 |
9月24日 |
9月25日 |
9月26日 |
時刻 |
10:00 |
10:40 |
17:00 |
水温 |
18℃ |
16℃ |
18℃ |
No |
土壌名 |
kΩ |
kΩ |
kΩ |
1 |
ポトス |
9.5 |
9 |
9.5 |
2 |
ブーゲンビリア |
8.5 |
9 |
10.5 |
3 |
くわずイモ |
8.5 |
9.5 |
9.5 |
4 |
イモ系観葉 |
8 |
8.5 |
10.5 |
5 |
ラン1 |
9.5 |
9.5 |
9.5 |
6 |
ラン2 |
8.5 |
8.5 |
10 |
7 |
ハイビスカス |
7.5 |
9.5 |
9.5 |
|
培養土平均 |
8.57 |
9.07 |
9.86 |
8 |
畑 |
11.4 |
12.8 |
12.7 |
水道水、培養土、畑の電気抵抗はそれぞれ、16kΩ、9kΩ、12kΩ
程度でした。
これをイオン濃度に換算するとそれぞれ、0.044mol/l、0.078mol/l、0.058mol/l
となります。
水道水のイオン濃度は、予想よりも大きく、培養土のイオン濃度は
水道水の倍程度ということがわかりました。
畑は水道水と培養土の中間程度の値を示しました。
残念ながら、イオンの成分比率までは測定できません。
したがって、肥料成分(イオンの成分)については、推定するきり
ありません。
- 肥料成分の推奨値
日本土壌肥料学雑誌,第72巻(第2号)158〜166(2001)
果菜類セル成型苗の培養土への適正な窒素施用量
によれば、適正な窒素施用量は
「培養土への適正窒素施用量はカボチャおよびカボチャ台木のキュウリ苗0〜100mgL-1,メロン100〜200mgL-1,キュウリ200mgL-1,トマト100〜400mgL-1,ナス200〜400mgL-1,ピーマン400mgL-1と考えられた。」
と記載されています。
窒素の分子量は14(g/mol)ですので、モル濃度に変換すると
100mgL-1=0.0071(mol/l)
400mgL-1=0.0286(mol/l)
です。
大まかにみれば、窒素の適正イオン濃度は
0.01(mol/l)程度ということになります。
日本土壌肥料学雑誌,第72巻(第2号)167〜174(2001)
野菜類セル成型苗の培養土の適正なリン酸濃度
によれば、適正なリン酸施用量は
「良好な生育を示した培養土の水溶性リン酸濃度は、レタスは17mgL-1以上、ハクサイは17〜296mgL-1,キャベツは17mgL-1以上、キュウリは3mgL-1以上、トマトは29mgL-1以上であった。したがって、各作物ともに正常な苗が得られる水溶性リン酸濃度は29〜296mgL-1であった。」
と記載されています。
リン酸の分子量は98(g/mol)ですので、モル濃度に変換すると
29mgL-1=0.0003(mol/l)
296mgL-1=0.003(mol/l)
です。
大まかにみれば、リン酸の適正イオン濃度は
0.001(mol/l)程度ということになります。
これ以外の肥料成分の適正値はわかりません。
水道水のイオン濃度は0.04(mol/l)の主成分は殺菌・消毒用
の塩素と思われ、有効な肥料成分としてはカウントできません。
どんぶりですが、有効な肥料成分のイオン濃度合計は
0.03〜0.04(mol/l)とみるのは妥当と思われます。
培養土のイオン濃度は、
培養土(0.078mol/l)=水道水(0.044mol/l)+有効肥料成分(0.034mol/l)
とみるべきです。
6章:当面の土壌管理に行く。
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