1章:光とは何か?
- 光電効果
図1-1に光電効果の概念図を示します。
図1-1に示すように波長の短い光が金属にあたると
電子が飛び出すという事実があります。
この現象を光電効果といいます。
飛び出した電子の量を測定することにより光センサー
を作ることができます。
飛び出した電子を集めると電池を作ることができます。
金属のかわりに半導体を用いても光電効果を起こすことが
できます。
実用的には実験的にさまざまな材料における光電効果特性
を評価すれば、特性の良い光センサーや太陽電池を作ることが
可能です。
なぜ?このような現象がおこるのでしょうか?
- 光の運動量効果
図1-2に光の運動量効果の実験概略図を示します。
図1-2に示すようにガラス容器の中に羽車をいれて、真空にして
レーザ光を照射すると羽車が回転します。
この現象を利用して、太陽の光を受けて加速する宇宙船や
光を推進力とした光子ロケット実現するかもしれません。
本当に光は運動量を持っているのでしょうか?
運動量は質量と速度の積として定義されます。
有限の運動量を持つことは、有限の質量を持つことを意味
します。
相対性理論によれば、静止質量をm0、
運動時質量をm、速度をv、光速をcとした時、
m=m0/(1-(v/c)2)1/2
であり、v=cのとき
m=∞となります。
なぜ?このような現象がおこるのでしょうか?
- 光の干渉実験
図1-3に光の干渉実験の概略図を示します。
図1-3に示すよう2本のスリットがあるスリット板に単色の
平行光線を照射するとスクリーン上には干渉縞が生じます。
この現象は光が波であるとするとうまく説明できます。
光が波であるというモデルから波動光学が発展しました。
顕微鏡、望遠鏡、投影光学系は波動光学の理論に基づいて
設計されます。
また、干渉の性質を利用して、面精度測定、膜厚測定、
表面形状の精密測定に応用されます。
多くの現象は波動光学で説明できますが、
説明できないことも数多くあります。
- ろうそくの火
図1-4に示すようろうそくに火をつけると炎がでます。
炎からは、光をでてまわりを明るくします。
人類は太古の昔から火を使い、料理をしたり、明かりに
して利用していました。
エジソンは真空中で炭素に電気を流すことにより、炭素を
高温にして光を出す白熱電球を発明しました。
火は、料理、暖房、お風呂、発電等に応用されます。
なぜ、物体が高温になると光を出すのでしょうか?
- 集光による発火
図1-5に光の集光による発火実験の概略図を示します。
図1-5に示すように太陽光線をレンズで集光して紙に
あてると発火します。
この現象はレーザ加工に応用されています。
レーザ光線をレンズで集光すると鉄も溶けます。
これにより鉄板を所定の形に加工できます。
なぜ?光を集光すると物体を高温に過熱できるのでしょうか?
- 蛍光
図1-6に光の蛍光実験の概略図を示します。
図1-6に示すように蛍光物質に紫外線をあてるとか可視光が
でてきます。
この現象を利用して蛍光灯が実用化されています。
物質毎に蛍光の波長が異なります。蛍光のスペクトル分析を
行うことにより不純物等物質の分析に応用されます。
また、物質は特定の波長を吸収する特性があります。
同様に吸収スペクトル分析を
行うことにより不純物等物質の分析に応用されます。
なぜ、物質は特定の波長を発光したり、吸収したりする特性が
あるのでしょうか?
- 水面反射と偏光
図1-7に光の水面反射と偏光を示します。
図1-7に示すように偏光メガネをかけて水面を覗くと水中の魚が
みやすくなります。
偏光メガネを90度回転して観察すると水面で反射した地上動物が
よく見えるようになります。
なぜ?水面で光は反射したり、偏光したりするのでしょうか?
なぜ?金属製の鏡は良く光を反射するのでしょうか?
これらの現象は光が電磁波であるというモデルで説明できます。
- ダイヤと黒鉛
ダイヤも黒鉛も同じ炭素原子の結晶です。
ダイヤは硬く美しい光を放ちます。
黒鉛はもろく、真っ黒です。
なぜ?このような違いが生じるのでしょうか?
- 光の不思議まとめ
光は私たちにとって身近なものです。
そして、多くの現象を体感することができます。
しかし、なぜ?こうなるのか?
光が電磁波であるというモデルから説明できる
現象もありますが、うまく説明できないことも多いのです。
エネルギーに関する現象、発光、吸収に関する現象については
電磁波以外のモデルを考える必要があります。
2章:エネルギーの単位に行く。
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