11章:特異点(極)のある複素関数の定積分
作成2011.01.21
- 特異点(極)のある複素関数の定積分
特異点(極)のある複素関数の一例として下記の関数の定積分について検討します。
(11.1)式はX=0が特異点(極)となります。
(11.1)式の不定積分すなわち原始関数G(X)は
従って定積分は
となります。
しかし、複素数のlog(X)関数は多値関数であり、(11.3)式の解は多数個存在してしまいます。
複素数のlog(X)関数の値は、下記の(11.4)式で計算されます。
従ってf(X)=1/Xの定積分は(11.3)式と(11.4)式から計算できますが、2nπの周期が特定できないことになります。
- 数値積分による検証
図11-1に示す積分路で数値計算を行い検証してみたいと思います。
- 複素関数グラフのワークブック「複素関数11.xls」のダウンロード
下記のワークブック「複素関数11.xls」をダウンロードしてください。
ダウンロード後はダブルクリックで解凍してから使用してください。
ワークブック「複素関数11.xls」をダウンロードする。
- ワークブック「複素関数11.xls」説明
- ワークブック「複素関数10.xls」は複素関数機能を使用しています。
- 複素関数機能を使うには、メニューの「ツール(T)」_「アドイン(I)」を選択し、アドインリストの「分析ツール」にチェックマークを設定する必要があります。
- 「複素関数10.xls」をダブルクリックで起動します。
(マクロを有効にして開いてください!!)
- シート「操作」はパラメータの設定と操作を行います。
- シート「OUT_FM」は数値積分の計算結果です。
- シート「Graph1」は計算結果のグラフです。
- シート「操作」
- 定数 A:Y=A*X^(-1)の定数を設定します。
- X^(-1) X^(-1):=IMPOWER(C9,-1)を設定します。
- Xr(0) :積分路スタート点の実数を設定します。
- Xi(0) :積分路スタート点の虚数を設定します。
- Xr(1) :積分路1本目の終点の実数を設定します。
- Xi(1) :積分路1本目の終点の実数を設定します。
- N(1) :積分路1本目の分割数を設定します。
- Xr(2) :積分路2本目の終点の実数を設定します。
- Xi(2) :積分路2本目の終点の実数を設定します。
- N(2) :積分路2本目の分割数を設定します。
- Xr(3) :積分路3本目の終点の実数を設定します。
- Xi(3) :積分路3本目の終点の実数を設定します。
- N(3) :積分路3本目の分割数を設定します。
- Xr(4) :積分路4本目の終点の実数を設定します。
- Xi(4) :積分路4本目の終点の実数を設定します。
- N(4) :積分路4本目の分割数を設定します。
注(1)積分路は斜め線の設定も可能です。
注(2)積分路数の最大は50本です。
- 「計算実行」ボタンを押すと計算を実行します。
- 複素関数Y=X^(-1)の定積分の検証
複素関数Y=X^(-1)の積分はlog(X)となります。この条件において
数値積分を行った結果を図11-2に示します。
- P0点:積分開始点であり当然値はゼロとなります。
- P1点の(11.3)式での計算結果は以下となります。
- P2点の(11.3)式での計算結果は以下となります。
- P3点の(11.3)式での計算結果は以下となります。
- P4点の(11.3)式での計算結果は以下となります。
- 複素関数Y=3*X^2の定積分の検証結果まとめ
- 数値積分の結果と(11.3)式での計算結果は2nπの周期ズレが発生します。
- 特異点(極)のある関数の積分は(11.3)式で確定できません。
- 積分値は積分路によって変化します。
- 積分路を逆向き(時計回り)にすると周期ズレの符号が反転します。
- 積分路を相似形で変化させても積分値の変化はありません。
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