13章:コーシーの係数公式

    作成2011.01.23
  1. コーシーの係数公式
     コーシーの積分表示を用いて、1回微分を行うと下記のコーシーの係数公式が得られます。

     コーシーの積分表示をn回微分を行うと下記のコーシーの係数公式が得られます。



  2. (13.1)式の証明
     aの近傍の1点をa+hとすると


     従って、微分は下記式となります。

    (13.4)式において、|X-a|》|h|の関係があり、hを十分小さくすると、 (13.4)式の第2項はゼロとなります。
    従って

    となります。同様な操作を繰り返すとn回微分の一般式である(13.2)式が得られます。


  3. 数値積分による検証
     コーシーの係数公式の検証を下記条件で行ってみます。

    従って(13.1)式は以下のように変形できます。

     まず、下記の式を数値積分します。

     積分路は図13-1に示す積分路とします。
     また、a=1+iとします。


  4. 複素関数グラフのワークブック「複素関数13.xls」のダウンロード
     下記のワークブック「複素関数13.xls」をダウンロードしてください。

     ダウンロード後はダブルクリックで解凍してから使用してください。
     
    ワークブック「複素関数13.xls」をダウンロードする。


  5. ワークブック「複素関数13.xls」説明
    1. ワークブック「複素関数13.xls」は複素関数機能を使用しています。
    2. 複素関数機能を使うには、メニューの「ツール(T)」_「アドイン(I)」を選択し、アドインリストの「分析ツール」にチェックマークを設定する必要があります。
    3. 「複素関数13.xls」をダブルクリックで起動します。
         (マクロを有効にして開いてください!!)
    4. シート「操作」はパラメータの設定と操作を行います。
    5. シート「OUT_FM」は数値積分の計算結果です。
    6. シート「Graph1」は計算結果のグラフです。


  6. シート「操作」
    1. 定数      a:Y=X^2/(X-a)^2の定数を設定します。
    2. X-a     X-a:=IMSUB(C9,C13)を設定します。
    3. (X-a)^2  (X-a)^2:==IMPOWER(C14,2)を設定します。
    4. X^2       :=IMPOWER(C9,2)を設定します。
    5. 積分路数  Nr:積分路数を設定します。
    6. Xr(0)      :積分路スタート点の実数を設定します。
    7. Xi(0)      :積分路スタート点の虚数を設定します。
    8. Xr(1)      :積分路1本目の終点の実数を設定します。
    9. Xi(1)      :積分路1本目の終点の実数を設定します。
    10. N(1)      :積分路1本目の分割数を設定します。
    11. Xr(2)      :積分路2本目の終点の実数を設定します。
    12. Xi(2)      :積分路2本目の終点の実数を設定します。
    13. N(2)      :積分路2本目の分割数を設定します。
    14. Xr(3)      :積分路3本目の終点の実数を設定します。
    15. Xi(3)      :積分路3本目の終点の実数を設定します。
    16. N(3)      :積分路3本目の分割数を設定します。
    17. Xr(4)      :積分路4本目の終点の実数を設定します。
    18. Xi(4)      :積分路4本目の終点の実数を設定します。
    19. N(4)      :積分路4本目の分割数を設定します。
      注(1)積分路は斜め線の設定も可能です。
      注(2)積分路数の最大は50本です。

    20. 「計算実行」ボタンを押すと計算を実行します。

  7. 複素積分(13.9)式の数値計算結果
     数値積分を行った結果を図13-2に示します。


  8. 代数計算結果
     代数的に計算した結果を下記に示します。




  9. 複素関数Y=3*X^2の定積分の検証結果まとめ
    1. 数値積分の結果とコーシーの係数公式で代数的に計算した結果は完全に一致します。
    2. 積分路は特異点(極)を含む閉曲線であれば、計算結果は同じとなります。
    3. 積分路の回転方向を逆にすると符号が反転します。
    4. 積分路が2周すると、積分値が倍になります。


14章:ラプラス変換とラプラス逆変換に行く。

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