14章:ラプラス変換とラプラス逆変換
作成2011.01.26
- ラプラス変換の定義式
ラプラス変換は時間tの関数f(t)に対して、任意の複素数変数sに関して下記のように定義される
- ラプラス逆変換の定義式
ラプラス逆変換は複素変数sの関数F(s)に関して下記のように定義される。
- 定義式の正当性
(14.1)式と(14.2)式は変数変換の式であるが、なぜ?この様な複雑な演算を行う必要があるのか?疑問を持たれると思います。
(14.1)式においては、関数f(t)に関数exp(st)をかけてtについて積分しています。ここで積分公式
を使用してV’=f’(t),U=exp(-st)とおくならば、V=f(t)、U’= -sexp(-st)となり、(14.1)式は以下のように変形できます。
(14.3)式の例に示すように、exp(-st)は、微分しても関数の形が変わらないため、代数的な積分がやりやすいという特徴があります。
この性質を利用して、さまざまなラプラス変換の公式が証明できます。
次に(14.2)式のラプラス逆変換の式ですが直感的には、なぜこの計算で逆変換できるのかが理解できません。
また、 (14.2)式の積分はコーシーの積分表示と等価です。
複素変数の積分は積分路を自由に選択することができます。 (14.2)式の積分路σ-i∞〜 σ+i∞は(12.1)式の積分路Cと等価なのです。
全ての特異点(極)を含む閉曲線を選択すれば、積分路σ-i∞〜 σ+i∞と等価となります。従って、 (12.1)式を用いて、代数的に逆変換を実行できる訳です。
ラプラス逆変換の定義式の正当性については、うまく説明できませんが、幾つかの事例について、検証を行ってみたいと思います。
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