18章:ラプラス逆変換の基本テクニック

    作成2011.01.27(2011.01.28修正)
  1. ラプラス逆変換の基本テクニック
     ラプラス逆変換の定義式(14.2)式です。

     (14.2)式は下記式と等価です。

     (18.1)式の積分路Cは関数F(s)の特異点(極)を全て含む閉曲線とします。
     (18.1)式の積分を代数的に解くにはコーシーの積分表示(12.1)式を使用します。



  2. ラプラス逆変換実施例
     ラプラス変換後の関数F(s)が以下の式の場合で説明します。

     ここで以下の計算を実施します。

     そして

     として逆変換が完了します。


  3. ラプラス逆変換の一般化
     ラプラス変換後の関数F(s)の分母が全て、1次因数に因数分解できるとき、上記の手法が一般的に適用できます。分母Q(s)が以下の場合

     のとき

     ラプラス変換後の関数F(s)の分母が全て、1次因数に因数分解できるとき、一般式の(18.8)式で ラプラス逆変換が可能です。


  4. 2次以上の因数で因数分解されるとき
    下記式のように

     ラプラス変換後の関数F(s)の分母が(18.9)式のようになった時は、コーシーの係数公式(16.2)式を使用します。

     逆変換は

     以下の微分公式を使用します。

     ゆえに

     となります。


     以上の方法で、ラプラス変換後の関数F(s)の分母がn次の累乗の方程式で表される場合のラプラス逆変換が可能です。
      n次の累乗の方程式の因数分解は2章:高次方程式解の求め方で説明した通りです。


  5. 数値積分による検証
     下記式の数値積分を行い、代数解との比較を行います。

     閉曲線の積分路は、図18-1に示す通りとします。

     時間tは0〜2までを10分割して計算するとします。



  6. 複素関数グラフのワークブック「複素関数18.xls」のダウンロード
     下記のワークブック「複素関数18.xls」(ラプラス逆変換プログラム)をダウンロードしてください。

     ダウンロード後はダブルクリックで解凍してから使用してください。
     
    ワークブック「複素関数18.xls」をダウンロードする。


  7. ワークブック「複素関数18.xls」説明
    1. ワークブック「複素関数18.xls」は複素関数機能を使用しています。
    2. 複素関数機能を使うには、メニューの「ツール(T)」_「アドイン(I)」を選択し、アドインリストの「分析ツール」にチェックマークを設定する必要があります。
    3. 「複素関数18.xls」をダブルクリックで起動します。
         (マクロを有効にして開いてください!!)
    4. シート「操作」はパラメータの設定と操作を行います。
    5. シート「OUT_R」は数値積分実数部の計算結果です。
    6. シート「OUT_I」は数値積分虚数部の計算結果です。
    7. シート「比較」は数値積分と代数解の比較です。
    8. シート「Graph1」はシート「比較」のグラフです。


  8. シート「操作」
    1. Y=exp(Xt)/((X-1)^2(X-2))  :=IMDIV(C15,C17)を設定します。
    2. Xt     Xt:=IMPRODUCT(C9,C13)を設定します。
    3. exp(Xt)  exp(Xt):=IMEXP(C14)を設定します。
    4. X-1     :=IMSUB(C9,1)を設定します。
    5. X-2     :=IMSUB(C9,2)を設定します。
    6. (X-1)^2   :=IMPOWER(H16,2)を設定します。
    7. (X-1)^2(X-2)  :=IMPRODUCT(C16,H17)を設定します。

    8. 初期時間  ts:初期時間を設定します。
    9. 終了時間  te:終了時間を設定します。
    10. 時間分割数  Nt:時間分割数を設定します。

    11. 積分路数  Nr:積分路数を設定します。
    12. Xr(0)      :積分路スタート点の実数を設定します。
    13. Xi(0)      :積分路スタート点の虚数を設定します。
    14. Xr(1)      :積分路1本目の終点の実数を設定します。
    15. Xi(1)      :積分路1本目の終点の実数を設定します。
    16. N(1)      :積分路1本目の分割数を設定します。
    17. Xr(2)      :積分路2本目の終点の実数を設定します。
    18. Xi(2)      :積分路2本目の終点の実数を設定します。
    19. N(2)      :積分路2本目の分割数を設定します。
    20. Xr(3)      :積分路3本目の終点の実数を設定します。
    21. Xi(3)      :積分路3本目の終点の実数を設定します。
    22. N(3)      :積分路3本目の分割数を設定します。
    23. Xr(4)      :積分路4本目の終点の実数を設定します。
    24. Xi(4)      :積分路4本目の終点の実数を設定します。
    25. N(4)      :積分路4本目の分割数を設定します。
      注(1)積分路は斜め線の設定も可能です。
      注(2)積分路数の最大は50本です。

    26. 「計算実行」ボタンを押すと計算を実行します。

  9. ラプラス逆変換(18.13)式の数値計算結果
     数値計算結果と代数解の比較を図18-2に示します。


     ラプラス逆変換の数値計算の結果と代数解は完全に一致します。




19章:導関数(微分関数)のラプラス変換に行く。

トップページに戻る。