6章:複素指数関数
作成2011.01.14
- 指数関数の定義
複素数の指数関数は、複素数XとYに関して以下のように定義される。
- 指数関数の加法定理
実数の場合と同様に複素数においても以下の加法定理が成立する。
- 実数部と虚数部の分離
実数部と虚数部を分離すると以下のようになる。
(6.5)式から虚数XIに対して、周期2πの周期関数となることが明らかである。
- 指数関数の微分
実数の微分公式がそのまま適用できます。すなわち
(6.6)式で示すように指数関数は微分しても形が変化しない特徴があります。
- 複素関数グラフのワークブック「複素関数6.xls」のダウンロード
下記のワークブック「複素関数6.xls」をダウンロードしてください。
ダウンロード後はダブルクリックで解凍してから使用してください。
ワークブック「複素関数6.xls」をダウンロードする。
- ワークブック「複素関数6.xls」説明
- ワークブック「複素関数6.xls」は複素関数機能を使用しています。
- 複素関数機能を使うには、メニューの「ツール(T)」_「アドイン(I)」を選択し、アドインリストの「分析ツール」にチェックマークを設定する必要があります。
- 「複素関数6.xls」をダブルクリックで起動します。
(マクロを有効にして開いてください!!)
- シート「操作」はパラメータの設定と操作を行います。
- シート「Yr」は関数Yの実数部3Dグラフです。
- シート「Yi」は関数Yの虚数部3Dグラフです。
- シート「操作」
- Xr分割数 Nr:変数Xの実数部範囲の分割数を設定します。
- Xr初期値 Xr1:変数Xの実数部の初期値を設定します。
- Xr終値 Xr2:変数Xの実数部の終値を設定します。
- Xi分割数 Ni:変数Xの虚数部範囲の分割数を設定します。
- Xi初期値 Xi1:変数Xの虚数部の初期値を設定します。
- Xi終値 Xi2:変数Xの虚数部の終値を設定します。
- 定数 A:関数Y=A*exp(X)の係数を設定します。
- exp exp(X):=IMEXP(C16)を設定します。
- 「計算実行」ボタンを押すと3Dグラフを作成します。
- デフォルト条件での実行結果
図6-1にexp(X)の実数部3Dグラフ、図6-2に虚数部3Dグラフを示します。
実数部3Dグラフと虚数部3Dグラフはよく似ています。
複素関数Y=exp(X)の実数部3Dグラフを図6-1に示します。
複素関数exp(X)の虚数部3Dグラフを図6-2に示します。
- 複素関数Y= exp(X)の微分の検証1
複素関数Y= exp(X)の微分はdY/dX=exp(X)です。
Yの変化量ΔYはXが実数軸上で変化した場合、すなわち
X=1、ΔX=0.1の時
Xが原点から虚数軸上で変化した場合、すなわち
X=0、ΔX=0.1×iの時
Yの変化量ΔYはXが虚数軸上で変化した場合、すなわち
X=0.5×π×i、ΔX=0.1×iの時
(6.7)式、(6.8)式、(6.9)式の結果は3Dグラフ図6-1と図6-2の結果と比べて
矛盾の無いことが確認できます。
- 複素関数Y= exp(X)の微分の検証2
複素関数Y= exp(X)の微分が変化しないことを数値微分で検証します。
検証条件は
X=1+i、ΔH=0.01×(1+i)とします。
Y= exp(X)の値は以下となります。
次に数値微分法で微分値を求めます。
結果は以下となります。
(6.11)式の演算はEXCELの複素関数機能を使用すれば簡単に計算できます。
さて、(6.10)式の結果と(6.11)式の結果を比較すると値が一致していることがわかります。
このように一致する条件は、複素関数Y= exp(X)の微分が変化しないことです。
- 複素関数Y= exp(X)の特徴
- 実数の指数関数の公式が複素数の指数関数に適用できます。
- 微分により関数の形が変化しません。
- 従って、不定積分を行っても関数の形が変化しません。
- このような特徴を持つ関数は指数関数のみであり、非常に扱いやすい関数です。
7章:複素対数関数に行く。
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