7章:複素対数関数

    作成2011.01.17
  1. 複素対数関数の定義
     対数は指数の逆関数であるから、

     の関係があります。
     Yが実数の場合、Xはゼロより大きい実数でなければなりません。
     Yが複素数の場合

     複素対数関数は実数の対数関数の拡張形であり、 (7.3)式においては、Xはゼロ以外の値をとることができます。


  2. 対数関数の微分
     実数の微分公式がそのまま適用できます。すなわち(7.1)式をXで微分して

     (7.2)式をXで微分して

     (7.5)式に(7.6)式を代入し変形すると

     (7.7)式は実数の対数関数の微分公式に一致します。
     また、 (7.7)式はX=0において値が無限大となり、特異点となります。


  3. 複素関数グラフのワークブック「複素関数7.xls」のダウンロード
     下記のワークブック「複素関数7.xls」をダウンロードしてください。

     ダウンロード後はダブルクリックで解凍してから使用してください。
     
    ワークブック「複素関数7.xls」をダウンロードする。


  4. ワークブック「複素関数7.xls」説明
    1. ワークブック「複素関数6.xls」は複素関数機能を使用しています。
    2. 複素関数機能を使うには、メニューの「ツール(T)」_「アドイン(I)」を選択し、アドインリストの「分析ツール」にチェックマークを設定する必要があります。
    3. 「複素関数7.xls」をダブルクリックで起動します。
         (マクロを有効にして開いてください!!)
    4. シート「操作」はパラメータの設定と操作を行います。
    5. シート「Yr」は関数Yの実数部3Dグラフです。
    6. シート「Yi」は関数Yの虚数部3Dグラフです。


  5. シート「操作」
    1. Xr分割数 Nr:変数Xの実数部範囲の分割数を設定します。
    2. Xr初期値 Xr1:変数Xの実数部の初期値を設定します。
    3. Xr終値   Xr2:変数Xの実数部の終値を設定します。
    4. Xi分割数  Ni:変数Xの虚数部範囲の分割数を設定します。
    5. Xi初期値  Xi1:変数Xの虚数部の初期値を設定します。
    6. Xi終値   Xi2:変数Xの虚数部の終値を設定します。

    7. 定数   A:関数Y=A*log(X)の係数を設定します。
    8. log  log(X):=IMLN(C16)を設定します。

    9. 「計算実行」ボタンを押すと3Dグラフを作成します。


  6. デフォルト条件での実行結果
     図7-1にexp(X)の実数部3Dグラフ、図7-2に虚数部3Dグラフを示します。
     複素関数Y=log(X)の実数部3Dグラフを図7-1に示します。


     複素関数Y=log(X)の虚数部3Dグラフを図7-2に示します。



  7. 複素関数Y= log(X)の微分の検証1
     複素関数Y= log(X)の微分はdY/dX=1/Xです。
     Yの変化量ΔYはXが実数軸上で変化した場合、すなわち
     X=1、ΔX=0.1の時



     Xが1から虚数軸上で変化した場合、すなわち
     X=1、ΔX=0.1×iの時



     (7.8)式、(7.9)式の結果は3Dグラフ図7-1と図7-2の結果と比べて 矛盾の無いことが確認できます。


  8. 複素関数Y= log(X)の微分の検証2
     複素関数Y= log(X)を数値微分で検証します。
     検証条件は
     X=1+i、ΔH=0.01×(1+i)とします。
     Y= 1/Xの値は以下となります。


     次に数値微分法で微分値を求めます。
     結果は以下となります。

     (7.12)式の演算はEXCELの複素関数機能を使用すれば簡単に計算できます。

     さて、(7.10)式の結果と(7.11)式の結果を比較すると値が一致していることがわかります。


  9. 複素関数Y= logp(X)の特徴
    1. 実数の対数関数の公式が複素数の対数関数に適用できます。
    2. 微分は1/Xとなります。
    3. 従って、不定積分は可能ですが形は変化します。
    4. X=0で値が無限大となり、特異点があります。


8章:複素三角関数に行く。

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