23章:ベクトルポテンシャル
作成2011.03.07
ベクトルポテンシャルの定義
22章で論じたように電流による磁場はスカラーポテンシャルの勾配としての数学モデルが適用できません。
スカラーポテンシャルと比較すると扱いにくいのですが、かわりにベクトルポテンシャルの数学モデルが適用できます。
磁束密度Bにおいて、下記式が一般的に成立します。

ここで、下記式を満足するベクトルAをベクトルポテンシャルといいます。

(23.1)式をX,Y,Z成分に分解すると下記となります。

(23.2)式から(23.4)式でベクトルポテンシャルAからベクトルBは一義的に決まりますが、逆にBからAを求める場合は多数存在することがわかります。
1本の直線の電流でできる磁束密度BのベクトルポテンシャルA
今仮に

とするならば

ということになります。(23.6)式と(23.7)式からAzの値を決定できます。
直線の電流でできる磁束密度Bは

です。これからAzを求めると

となります。

としてグラフ化すると下記のようになります。

図23-1において、磁束密度Bのベクトルの方向は、等高線の方向となります。
(最大傾斜方向と直角)
また、磁束密度Bのベクトルの大きさは最大傾斜方向の勾配となります。
2本の直線電流による磁束密度のベクトルポテンシャルA
2本の直線電流による磁束密度のベクトルポテンシャルAzは

となります。同様に

としてグラフ化すると下記のようになります。

図23-2において、磁束密度Bのベクトルの方向は、等高線の方向となります。
(最大傾斜方向と直角)
また、磁束密度Bのベクトルの大きさは最大傾斜方向の勾配となります。
磁気双極子のベクトルポテンシャルA
磁気双極子のベクトルポテンシャルAは

で与えられます。

とするならば

となります。

としてグラフ化すると下記のようになります。

図23-3において、磁束密度Bのベクトルの方向は、等高線の方向となります。
(最大傾斜方向と直角)
また、磁束密度Bのベクトルの大きさは最大傾斜方向の勾配となります。
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