5章:ベクトルの内積
作成2011.02.03
- ベクトルの内積
図5-1に示すベクトルの内積の定義において、2個のベクトルAとBにおいて、ベクトルの内積は下記の式で定義されます。
- 基本ベクトルの内積
図5-2の基本ベクトルの内積において、ベクトルAのX、Y、.Z成分Ax,Ay,Azは下記の式で表現できます。
また、基本ベクトルi、j、k間の内積は全てゼロとなります。
- ベクトルの内積の基本公式
上記の(5.1)式で定義されたベクトルの内積から、下記の重要な基本公式が導かれます。
(5.6)式と(5.7)式から2個のベクトルAとBの成す角度θを求めることができます。通常、3次元ベクトルを2次元の紙面に正確に記述することは困難です。従って、正確な作図が困難ですが、 (5.6)式と(5.7)式から作図を行うことなく、角度θが求まります。
この性質は3次元の形状を扱う上で重要な性質となります。
私ごとになりますが、光の不思議と応用-27章:光線追跡の基礎理論においては、 (5.6)式を用いて光線追跡の計算式を導きました。( ベクトルの公式を使用すると3次元ベクトルを正確に描画できなくても、計算式を求めることができます。)
- (5.6)式の証明(1)
ベクトルAとBの内積は下記式のように展開できる。
(5.8)式において
(5.8)式に(5.9)式と(5.10)式を代入して
を得る。
- (5.6)式の証明(2)
単位ベクトルAとB、および三角関数の公式から証明する。
下記の三角関数の公式を使用する。
図5-3から
(5.11)式に(5.12)式と(5.13)式を代入して
を得る。
(5.6)式の証明は2通りの方法を用いたが、いずれも成立することが証明できます。
また、具体的な光線追跡の演算で使用した場合も矛盾は生じていません。
- ベクトルの内積計算演習
EXCELを用いて、ベクトルの内積計算演習を行い、ベクトルの内積計算のイメージアップを図りましょう!!
- ワークブック「ベクトル解析5.xls」のダウンロード
下記のワークブック「ベクトル解析5.xls」(ベクトル作図プログラム)をダウンロードしてください。
ダウンロード後はダブルクリックで解凍してから使用してください。
ワークブック「ベクトル解析5.xls」をダウンロードする。
- ワークブック「ベクトル解析5.xls」説明
- ワークブック「ベクトル解析5.xls」は複素関数機能を使用していません。
- 「ベクトル解析5.xls」をダブルクリックで起動します。
(マクロを有効にして開いてください!!)
- シート「操作」はパラメータの設定と操作を行います。
- シート「XY平面」はXY平面上の作図を行います。
- シート「YZ平面」はYZ平面上の作図を行います。
- シート「操作」
- ベクトル数(Nb) :ベクトル数を設定します。
- X:ベクトル始点のX成分を設定します。
- Y:ベクトル始点のY成分を設定します。
- Z:ベクトル始点のZ成分を設定します。
- ΔX:ベクトルのX成分を設定します。
- ΔY:ベクトルのY成分を設定します。
- ΔZ:ベクトルのZ成分を設定します。
- 「作図実行」ボタンを押すと作図を実行します。
- 計算・作図結果
入力条件を下記表に示します。
ベクトルAとBの値を設定するとベクトルの内積、角度θ等
は自動計算されます。
作図結果を下記に示します。
ベクトルの相対角度θは60度ですが、作図結果からは
明確には判断できません。
相対角度θについては、作図よりも計算の方が重要です!!
6章:ベクトルの外積に行く。
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