7章:Si系薄膜用のスピンコートレジスト
作成2011.10.03
- Si系薄膜用のスピンコートレジスト調合材料の選定
Si系薄膜用のスピンコートレジストの主剤の選定がポイントですが、幸いなことに最適な材料が
あります。
- スピンコートレジスト主剤の選定
主剤は以下の材料とします。
・シルセスキオキサン誘導体(AC-SQ SI-20) 東亜合成(株)
・CAS No 不明 分子構造は特定できません。
・分子構造 図7-1に分子構造を示します。SiとOの結合でかご型の骨格を
形成しています。
・分子量 =不明(高分子)
・粘度 4000〜15000
以下シルセスキオキサン誘導体(AC-SQ SI-20)をAC-SQと略して記載します。
- スピンコートレジスト希釈剤の選定
・メタクリル酸エチル M0084
CAS No 80-62-6 で分子構造が特定されています。
この材料は東京化成工業から試薬として購入することが可能です。
・和名 : メタクリル酸エチル
・TCI製品コード :M0084
・分子量 =114.14
・粘度 0.56mPa・s(25℃)
・沸点 100℃
以下メタクリル酸エチル M0084をM0084と略して記載します。
- ドライエッチ耐性向上材料
・エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート A-BPE-10
硬化後の弾力性に優れた材料です。
CAS No 64401-02-1 ですが、分子量までは特定できません。
・製品名 : A-BPE-10 新中村化学工業
・化学名 エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート
・外観:淡黄色透明液体
・分子量:776
・色数:70(APHA)
・比重:1.137(25℃)
・粘度:550(mPa・s/25℃)
・屈折率:1.516
・重合禁止剤:100(MEHQppm)
以下エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート A-BPE-10をA-BPE-10と略して記載します。
- 3次元結合力向上材料
A-BPE-10の硬化物が3次元的強度をもつため、3次元結合力向上材料は
省略できます。
- 光重合開始剤の選定
光重合開始剤はIRGACURE 369を使用します。
この光重合開始剤は固体です。紫外線の吸収が強く、薄膜の
スピンコートレジストに適用します。厚膜に適用すると底まで紫外線が届かなくなります。
CAS No 119313-12-1 で分子構造が特定されています。
この材料はシグマ アルドリッチ ジャパン
からは試薬として販売されています。
・和名 : 2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-4′-モノホリノブチロフェノン
・製品番号 405647-25G
・分子量 =366.50
この分子構造においては、ベンゼン環が2個あり、これが紫外線を吸収し、エネルギーを
得ます。このエネルギーが分子内を伝播し、酸素の2重結合がある不安定部分の結合
を切ります。
このため、共有結合が切れたラジカルが発生し、ラジカル重合反応を開始させます。
以下IRGACURE 369をI- 369と略して記載します。
- Si系薄膜用のスピンコートレジストの配合比の決定
ここまで検討したら、後は直感で配合比を決定します。
ただし、希釈率は5000rpm-20sスピンコート後、ベーク80℃2分を行った後、膜厚を測定して調整します。
・Si系薄膜用のスピンコートレジストの配合比 AC-SQ:A-BPE-10:M0084:I-369=1:1:26:0.2
・この配合で、膜厚175nm程度の均一なスピンコート膜を得ることができます。
・回転数の設定で変化できる膜厚は僅かです。
・大きく膜厚を変える場合は、希釈率を変更する必要があります。
・希釈率を調整することにより40nm程度の薄膜のスピンコートも可能です。
・混合後は、100nm程度の孔径のフィルターを使用してのフィルタリングが必要です。
・スピンコート時の膜厚は回転時間10s〜20sで安定します。
・スピンコート後は、80℃2分のベークを行い、希釈剤を蒸発させる必要があります。
・硬化に必要な露光時間は照度50mW/cm2で1〜2s程度です。
- Si系薄膜用のスピンコートレジストの今後
2層プロセス、3層プロセス検討用レジストです。
本レジスト調合条件は、複数の条件での比較評価をして決めた条件ではありません。
8章:2層レジストプロセスに行く。
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