9章:反転レジストプロセス
作成2011.10.04
- 反転レジストプロセスの原理
図8-1に反転レジストプロセスの概略図を示します。
- カップリング処理
・O2プラズマ ハード、300W、200s
・KBM-5103:M0084=1:1000 滴下
・スピンアウト 5000rpm 60s
・ベーク 120℃ 5分
- 第1層レジストのスピンコート
・ノーマル厚膜用のスピンコートレジストの配合比 CN-325:A-BPE-10:T2325:M0084:I-907=1:1:1:10:0.3
・立上り 3s 、回転数5000rpm、 15s
・ベーク 80℃ 1分
- ナノインプリント
図8-1(a)にナノインプリント後の断面形状を示します。
・照度 50mW/cm2 5s
- 第2層レジストのスピンコート
図8-1(b)に第2層レジストのスピンコート後の断面形状を示します。
・Si系薄膜用のスピンコートレジストの配合比 AC-SQ:A-BPE-10:M0084:I-369=1:1:26:0.2
・立上り 3s 、回転数5000rpm、 15s
・ベーク 80℃ 1分
- 露光
・照度 50mW/cm2 2s(窒素雰囲気中)
- ベースエッチ
・処理モード ハード 圧力優先
・RFパワー 100W
・処理圧力 1Pa
・CF4ガス流量 10ml/min
- O2プラズマエッチ
図8-1(c)にO2プラズマエッチ後の断面形状を示します。
・処理モード ハード 圧力優先
・RFパワー 100W
・処理圧力 1Pa
・O2ガス流量 10ml/min
以上の処理プロセスで凹凸が反転され、被転写基板上には凸パターンのレジストが形成されます。
また、アスペクトは8章:2層レジストプロセスと同様に増幅されます。
- 反転レジストプロセスの必要性
・石英スタンパは必ず凸パターンにする必要があります。凹パターンの場合、凹パターン部
に空気が残り転写欠陥が発生しやすいからです。
凸パターンの場合はパターン部の空気が速やかに排出されて、良好な転写ができます。
・第1層を厚くすると、第1層のレジストがクッションの役割して、微小異物起因の転写欠陥防止
の役割をはたします。
- 無欠陥ステップ&リピート転写に実証
微細加工技術を牽引してきたのは、半導体リソグラフィー技術といって過言ではないでしょう!!
ナノインプリント技術が半導体リソグラフィー技術で要求される転写品質、精度を達成できるだろうか?
誰でも、このような疑問をいだくしょう!!私もそのような疑問をしばらくいだいていました。
もっと、要求レベルの低い実用化のアプリはないだろうか?そう思って、要求レベルを下げたくなると思います。
しかし、要求レベルを下げても大きな成果は期待できません。
半導体リソグラフィーへの適用を目指すならば、まずは無欠陥ステップ&リピート転写を実証
しなければなりません。
しかし、このためにはさまざまな準備が必要です。
- クリーンな作業環境(スーパークリーンルームに匹敵する環境が必要です。)
- 各種のクリーンな処理設備(洗浄・乾燥、有機ドラフト、スピンナー、プラズマ処理設備、検査設備等)
- レジスト材料
- ステップ&リピート転写用石英スタンパ
- ステップ&リピート転写用転写治具
上記のうち、ステップ&リピート転写用転写治具は特注の道具です。また、ステップ&リピート転写用石英スタンパ
は、転写治具に合わせた形状が必要なため、特注となります。
下記は、漠然としたステップ&リピート転写用転写治具のイメージを具体的な機械設計図面にしたものです。
公開技術資料と公開機械図面 2章:S&Rナノインプリント転写治具の設計
上記が全てそろえば、2層レジストプロセスを使用して、無欠陥ステップ&リピート転写を実証できるでしょう!!
- もうひとつの実証
無欠陥ステップ&リピート転写を実証できれば、実用機の試作に後一歩です。
しかし、実用機の試作の前にもうひとつ実証が必要です。
それは、転写パターンのスケール誤差(熱膨張誤差)の厳密な制御の実証です。
10章:熱膨張誤差の制御に行く。
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