1章:定期的検査項目

    作成2011.10.08
  1. 定期的検査項目一覧
     定期的検査項目一覧を下記の表に示します。(現在 1回/2ヶ月で実施中)

    検査項目 *基準値 *検査により何がわかるか? *どのような検査か
    HbA1c "4.3〜5.8% " 過去1〜2ヶ月間の血糖コントロール状態の平均を反映している。 "赤血球中のヘモグロビンと血液中のブドウ糖とが結合したものをグリコヘモグロビンといいます。血液中に余っている糖が多ければ(高血糖状態)多いほど結びつきが増えグリコヘモグロビンも多くなるわけです。このグリコヘモグロビンには何種類かあり、そのうちの1つがHbA1c です。 HbA1cは一度作られると、赤血球が死滅するまでは消滅しません。赤血球の寿命は120日ほどであり、この半分くらいにあたる時期の血糖値の平均を反映します。 よって、血液検査を受けたときから約1〜2ヶ月前の血糖の平均的な状態を知ることができるのです。"
    空腹時血糖 70〜110 mg/dl(空腹時採血) 糖尿病や低血糖を呈する各種の糖代謝異常を推測できる。 "血糖検査はおもに糖尿病のスクリーニング検査として行います。 血糖とは血液中に含まれているブドウ糖(グルコース)のことで、インスリンやグルカゴン、甲状腺ホルモンなどにより一定の量に保たれています。 しかし、インスリンが減少したり、作用ができなくなると血糖値が上昇し糖尿病になります。血糖検査は糖尿病の診断には欠かせない検査です。"
    AST(GOT) 10〜40 IU/l 肝臓、心筋(心臓の筋肉)、骨格筋などの障害を推測できる。 "GOTは肝臓、心筋、骨格筋に多く含まれている酵素なので、それらの臓器や組織が障害(破壊)された場合、血液中のGOTの値が異常に上昇してきます。 臓器や組織の種類、障害の程度によってGOTの上昇度に差があり、障害の程度が強いほど数値が高くなります。 また、GOTとGPTの比をとることにより、各種肝疾患のおおよその鑑別ができます。"
    ALT(GPT) 5〜45 IU/l 肝組織の障害を推測できる。 "GPTは肝細胞に多く含まれている酵素なので、肝細胞が障害(破壊)された場合、血液中のGPTの値が異常に上昇してきます。 GPTもGOTと同様、肝細胞のほかに心筋や骨格筋にも含まれているため、これらの病気の指標にもなりますが、GOTに比べると含まれている量が少なく、上昇の程度は軽くなります。 また、GOTとGPTの比をとることにより、各種肝疾患のおおよその鑑別ができます。"
    ALP 100〜325 IU/l "・肝胆道系の異常を推測できる。 ・アイソザイム分析により傷害された臓器を推定できる。" "ALPはエネルギー代謝に関わる酵素のひとつで、ほとんど全ての臓器や組織に含まれています。 特に胆道系の細胞に多く含まれているため、この細胞が障害を受けると細胞外に出てくるため血液中のALPは高値になります。 よって肝臓や胆道系の障害を調べる検査として有用です。 また、骨の成長に関わる骨芽細胞にも多く含まれているため、骨の病気の検査にも使われます。"
    γ-GTP "男性:70 IU/l以下 女性:40 IU/l以下" 肝胆道系の異常やアルコール性肝障害を推測できる。 "γ−GTPは肝臓の障害を調べる重要な検査です。 特に有名なのが、アルコールが原因で障害が起こると、肝細胞に存在するγ−GTPが血液中に出てきて特異的に上昇し、基準値の数倍から数十倍に上がります。 禁酒により速やかに値は低下し、約2週間の禁酒で数値は半分くらいになりますが、アルコール性肝炎やアルコール性脂肪肝になっていると2〜3ヶ月は禁酒しないと正常値になりません。 ちなみに、女性ホルモンにはγ−GTPの働きを抑えたり、肝臓でγ−GTPが作られるのを抑える作用があるため、男性より女性のほうが低い数値になっています。"
    中性脂肪 150 mg/dl未満 "・糖尿病や肥満をはじめ、糖・脂質代謝に異常をきたす疾患の存在を推測できる。 ・動脈硬化性疾患の推測ができる。" "中性脂肪は脂質の一種で糖質、炭水化物、動物性脂肪などがおもな原料として肝臓で作られます。 血液中の中性脂肪が多くなると動脈硬化性疾患の原因となります。 また、肥満との関連が強く、中性脂肪と肥満度は比例します。肥満や食べ過ぎ、運動不足、飲酒により中性脂肪の値は高値になります。"
    HDLコレストロール "男性:40〜86 mg/dl 女性:45〜96 mg/dl" "・動脈硬化性疾患の推測ができる。 ・糖・脂質代謝やリポ蛋白の代謝異常の存在が推測できる。" "血液中のコレステロールや中性脂肪などが蛋白質と結びついたものをリポ蛋白といいます。このリポ蛋白は比重の違いで高比重リポ蛋白(HDL)、低比重リポ蛋白(LDL)、超低比重リポ蛋白(VLDL)、カイロミクロンに分けられます。 このうちHDLに含まれるコレステロールがHDLコレステロールです。 HDLコレステロールはLDLコレステロール(悪玉コレステロール)などが血管に沈着するのを取り除く働きをするため、善玉コレステロールと呼ばれており、動脈硬化を防ぐ働きをします。 よってHDLコレステロールの値を測定することにより、動脈硬化の予防や診断に役立ちます。"
    LDLコレストロール 65〜139 mg/dl未満 動脈硬化の発症および進展を推測できる。 "血液中のコレステロールや中性脂肪などが蛋白質と結びついたものをリポ蛋白といいます。このリポ蛋白は比重の違いで高比重リポ蛋白(HDL)、低比重リポ蛋白(LDL)、超低比重リポ蛋白(VLDL)、カイロミクロンに分けられます。 このうちLDLに含まれるコレステロールがLDLコレステロールです。 LDLコレステロールはコレステロールの運搬に重要な役割を果たしており、高値になると血管壁に沈着し動脈硬化が進みやすいといわれています。 よって悪玉コレステロールとも呼ばれます。"
    クレアチニン "男性:0.61〜1.04 mg/dl 女性:0.47〜0.79 mg/dl" 腎機能障害の有無を確認でき、人工透析などの指標となる。 "クレアチニンは筋肉内でクレアチンという物質から作られて血液中に出現し、腎臓の糸球体でろ過されて尿中へ排泄されます。 よって腎機能が低下すると血液中のクレアチニン濃度が高値になり、腎臓以外の影響を受けにくいことから、腎機能の障害を正確に反映するといわれます。 さらに、クレアチニンは筋肉内で合成されるため筋肉の量に比例します。筋ジストロフィ症などの筋肉の萎縮する病気では低値になります。"
    CK "男性:60〜270 IU/l 女性:40〜150 IU/l" "・骨格筋、心筋、脳などの損傷の程度を推測できる。 ・アイソザイム分析により傷害された臓器を推定できる。" "クレアチンキナーゼは筋肉に多量に存在する酵素で、筋肉細胞のエネルギー代謝に重要な役割を果たしています。 そのため、筋肉に障害があると、血液中のクレアチンキナーゼは高値になります。 特に、急性心筋梗塞や進行性筋ジストロフィでは著しく高い値になります。"
     



2章:糖尿病のお薬に行く。

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