41章:燃焼灰の分別

    作成2012.06.08
     1550℃燃焼炉で気化も溶解もしない物質が燃焼灰です、燃焼灰は貴重なリサイクル資源となります。


  1. 燃焼灰の金属
      1550℃燃焼炉で気化も溶解もしない金属の一覧を表41-1に示します。

    表41-1  1550℃燃焼炉で気化も溶解もしない金属の一覧
    密度 融点 沸点 酸化物 密度 融点 沸点 水溶性 水酸or酸 酸性 炭酸塩 水溶性
    元素名 記号 g/cm3 化学式 g/cm3 g/L 化学式 アルカリ性 化学式 g/L
    ホウ素 B 2.08 3927 3927 B2O3 1.85 480 1680 2.2 H3BO3 弱酸性
    チタン Ti 4.51 1663 3287 TiO2 構造による 1870 不溶 中性
    バナジウム V 6 1910 3407 V2O5 3.56 690 0.8 H2O2V
    クロム Cr 7.19 1907 2671 Cr2O3 5.22 2435 不溶 Cr2O(OH)4 特定不可 不溶
    マンガン Mn 7.2 2061 2061 MnO2 5.03 535(分解) 分解 不溶 Mn(OH)2 酸・塩基に溶解 MnCO3 0.065
    ニッケル Ni 8.91 2913 2913 NiO 6.67 1984 酸に溶解 Ni(OH)2 酸・塩基に溶解 NiCO3 0.0093
    白金 Pt 21.45 1768 3825


  2. 燃焼灰の酸化物
        1550℃燃焼炉で気化も溶解もしない酸化物の一覧を表41-2に示します。

    表41-2  1550℃燃焼炉で気化も溶解もしない酸化物の一覧
    密度 融点 沸点 酸化物 密度 融点 沸点 水溶性 水酸or酸 酸性 炭酸塩 水溶性
    元素名 記号 g/cm3 化学式 g/cm3 g/L 化学式 アルカリ性 化学式 g/L
    カドミウム Cd 8.65 321 767 CdO 8.15 1559 1559 0.049 Cd(OH)2 CdCO3
    Fe 7.87 1538 2862 Fe2O3 5.24 1566 分解 不溶 Fe(OH)2 CFeO3
    リチウム Li 0.512 181 1342 Li2O 2.01 1570 2600 水と反応 LiOH 強アルカリ Li2CO3 1.33
    ケイ素 Si 2.33 1414 2355 SiO2 2.2 1650 不溶 中性
    チタン Ti 4.51 1663 3287 TiO2 構造による 1870 不溶 中性
    ガリウム Ga 5.91 30 2403 Ga2O3 6.44 1900 酸に溶解 Ga(OH)3 酸・塩基に溶解
    バリウム Ba 3.51 727 1897 BaO 5.72 1923 2000 3.48 Ba(OH)2 強アルカリ BaCO3 0.0024
    コバルト Co 8.9 1495 2927 CoO 6.1 1933 強酸に溶解 Co(OH)2 CCoO3
    亜鉛 Zn 7.14 420 907 ZnO 5.61 1975 分解 1.6 Zn(OH)2 ZnCO3
    ニッケル Ni 8.91 2913 2913 NiO 6.67 1984 酸に溶解 Ni(OH)2 酸・塩基に溶解 NiCO3 0.0093
    スカンジウム Sc 2.99 1541 2836 Sc2O3 4.5 2000 酸に溶解 H3O3Sc Sc2(CO3)3.
    アルミニウム Al 2.7 660 2519 Al2O3 4.03 2032 2977 不溶 Al(OH)3 酸・塩基に溶解 Al2(CO3)3 不安定
    ストロンチウム Sr 2.64 777 1382 SrO 4.7 2430 3000 水と反応 Sr(OH)2 強アルカリ SrCO3 0.0011
    クロム Cr 7.19 1907 2671 Cr2O3 5.22 2435 不溶 Cr2O(OH)4 特定不可 不溶
    ベリリウム Be 1.85 1287 2469 BeO 3.02 2570 3900 0.2 Be(OH)2 弱アルカリ BeCO3 0.36
    カルシウム Ca 1.55 842 1484 CaO 3.55 2572 2850 水と反応 Ca(OH)2 弱アルカリ CaCO3 0.015
    マグネシウム Mg 1.74 650 1091 MgO 3.65 3600 0.0086 Mg(OH)2 弱アルカリ MgCO3 0.101


  3. 粒子径による分別
        1550℃燃焼炉で気化も溶解もしない物質の量はわずかであり、多くの物質は粒子状になることが予想されます。まずはふるいを用いて粒子径別に分別します。
     粒子径による分別の原理を図41-1に示します。コンベアで搬送された燃焼灰はふるいにより分別されます。



  4. 比重による分別
        粒子径分別後の燃焼灰は比重による分別を行います。粒子毎に比重を計測するのは効率が悪いため、図41-2に示す原理で分別します。
     粒子径分別後の燃焼灰はコンベアで搬送し、一定の流速の水流に落下させます。
     比重の大きい粒子は早く落下し、比重の小さい粒子は遅く落下します。これによりおおまかな比重別の分別が可能です。
     最も比重の大きい粒子は白金を含む可能性が高くなります。



  5. 水溶性粒子の分別
     CdO、Li2O、BaO、ZnO、SrO、BeO、CaO、MgO等の酸化物は水溶性であり水に溶解します。水溶液はアリカリ性となります。この水溶液を炭酸水で中和すると炭酸塩に変化します。
     炭酸塩水溶液はイオン交換膜を使用した電気浸透法で抽出します。








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