43章:下水処理の仕組みと将来文明
作成2012.06.11
下水処理の仕組みについて検討します。
- 下水処理の仕組み
下水処理の仕組みを図43-1に示します。
図43-1に示すように下水は「好気性微生物」と「嫌気性部生物」で汚れを分解します。このため、天然の有機物は分解できますが、人工的な有
機物の分解はうまくいきません。
従って、人工的に合成された有機物の廃棄物を流すことはできません。産業廃液の多くは下水に流すことはできません。
生活排水においても、洗剤等の人工的な有機物が使用されます。しかし、日常生活において、多くの洗剤が使用されます。洗剤は脂肪酸と水酸化
ナトリウムの化学反応で生成されます。脂肪酸は天然の有機物であり微生物により分解されますが、ナトリウムは分解できません。このため、洗剤
を多く含む下水はアルカリ性となります。
- 第1沈殿槽
一般家庭から集められた下水は、第1沈殿槽で大まかに沈殿させます。
- 好気性微生物処理前中和
下水の酸性度を測定し中和処理をします。(ナトリウムイオンが多くアリカリ性の場合は、塩酸が有効です。)
- 好気性微生物処理槽
処理槽の空気を送り込み、好気性微生物で分解します。
- 沈殿物濃縮器
第1沈殿槽と好気性微生物処理槽での沈殿した汚泥の水分を減らします。
- 嫌気性微生物処理槽
沈殿物濃縮器で濃縮した汚泥を)嫌気性微生物で分解します。分解によりネタンガスが発生します。
- メタンガス容器
発生したメタンガスを蓄えます。
- 滅菌槽
好気性微生物処理槽で浄化された下水の滅菌を行います。滅菌には通常、次亜塩素酸ソーダを使用します。次亜塩素酸ソーダ水溶液はナトリウムイオ
ンが増加しアルカリ性となります。
- 放流前中和
放流前下水の酸性度を測定し中和処理をします。(ナトリウムイオンが多くアリカリ性の場合は、塩酸が有効です。)
下水処理の基本は、 「好気性微生物」と「嫌気性部生物」による分解です。このため、人工的な化合物を使用するのは本来好ましくないのですが、微
生物の放流も好ましくないため、人工的な化合物次亜塩素酸ソーダを使用して殺菌します。人工的な化合物を使用した場合は、人工的な中和処理が必要となります。
- 河川への放流
- 生活廃水も工業廃水も河川への放流すべきではありません。
- 河川への放流は基本的に雨水のみにすべきです。
河川の水は水道水と農業用水に利用されています。雨水以外を河川に流さなければ清流となり、自然が保護されます。
- リサイクルプラントの特徴
- リサイクルプラントでは、あらゆる廃棄物・廃液を無害化できます。
- 廃棄物・廃液に含まれる非燃焼性物質は、物質別に選別されて回収できます。
- 廃棄物・廃液に含まれる燃焼性物質は、燃焼エネルギーとなり電気エネルギーとなります。
- 酸、アルカリ、塩等の水溶液は、イオン交換膜による電気透析で濃縮処理となります。
- 極端に水分の多い廃棄物は燃焼効率が悪くなるため、濃縮処理が必要となります。
- 酸、アルカリ、塩等を除く廃棄物は全て燃焼処理となります。
- リサイクルプラントは集中化、巨大化したほうが効率が良くなります。
- リサイクルプラントは巨大投資が必要となるため、実現には国家戦略が必要となります。
- 放射性物質を無害化できるか?
- 燃焼により放射性物質は変化しません。
- ただし、セシウム、ヨウ素等問題となる元素を分離し、抽出することは可能です。
- 抽出したセシウム、ヨウ素は厳重に管理する必要があります。
- 特定の放射性元素を除去した資源は、放射性物質が低減します。
- 将来文明
- 将来文明においては、完全な自然サイクルが保護されるでしょう。
- 人工的に生み出した物質は、完全な人工的処理により無害化され、リサイクルされるでしょう。
44章:自動車エンジン用燃料の物性に行く。
トップページに戻る。