11章:カルノーサイクル

    作成2012.06.23

  1. カルノーサイクル順サイクル
      カルノーサイクルは理想的な熱機関として考えられた機関です。
     図11-1にカルノーサイクルを示します。
     a点からb点への変化は等温過程であり、温度T1の熱源からq1の熱量を受け取ります。熱量q1と仕事l1は等しく

    (9.5)式から

    となります。b点からc点への変化は断熱過程であり


    となります。c点からd点への変化は等温過程であり

    となります。d点からa点への変化は断熱過程であり


    カルノーサイクルの総和は

    ここで断熱過程の関係式

    (10.27)式より

    したがって

    (11.7)式に(11.9)式を代入すると

    (11.10)式を(11.1)式でわると効率ηが求まります。

    (11.11)式がカルノーサイクルの効率を与える式であり、高温側の温度と低温側の温度のみで効率が決定されます。



  2. カルノー逆サイクル
     カルノー順サイクルを逆に回すと計算式の符号が逆転します。

     仕事lはマイナスとなり、仕事を加える必要が生じます。熱エネルギーは低温側から高温側に吸い上げられます。これを熱ポンプといいます。
     熱ポンプの効率ηpは

    と考えるべきです。


  3. カルノーサイクルの効率
     低温側を20℃とした場合のカルノーサイクルの効率を表11-1に示します。

    表11-1 カルノーサイクルの効率(低温側を20℃とした場合)
    高温側(℃) η ηp
    50 0.093 10.767
    100 0.214 4.663
    200 0.381 2.628
    300 0.489 2.046
    400 0.565 1.771
    500 0.621 1.610
    600 0.664 1.505
    700 0.699 1.431
    800 0.727 1.376
    900 0.750 1.333
    1000 0.770 1.299
    1100 0.787 1.271
    1200 0.801 1.248
    1300 0.814 1.229
    1400 0.825 1.212
    1500 0.835 1.198

    ηは熱エネルギーを機械エネルギーへの変換効率
    ηpは熱ポンプの変換効率
     熱エネルギーを機械エネルギーへの変換の場合は高温側の温度が高いほど効率が良くなります。
     熱ポンプの場合は高温側の温度が低いほど効率が良くなります。








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