20章:運動の連続条件と音速
作成2012.07.10
運動の連続条件と断熱過程の式と流れ過程の有効仕事の式を組み合わせると音速を求める式が求まります。
- 運動の連続条件
運動の連続条件式は
(20.1)式を微分すると
(20.2)式をfcで割り、G/fc=1/vを代入すると
が得られます。 (20.3)式は連続の条件を微分形で表現したものです。
- 断熱過程の条件
(10.19)式を微分すると
(20.4)式をv^kで割ると
従って
となります。
- 流れ過程の有効仕事の条件
(18.17)式を変形すると
(20.7)式をc^2/gで割ると
(20.3)式に(20.6)式と(20.8)式を代入すると
(20.9)式を整理すると
となります。 (20.10)式の意味を理解するため、断熱膨張の状態でdp=-1とします。この状態で流速cは増加
します。変数yを使って(20.10)式を以下のように変形します。
圧力p=10000kp/m2、温度20℃、ガス定数R=29.27m・kp/kg・K 、比容積v=0.858 m3/kg としてdy/dcの
値とyの値を計算してグラフにすると図20-1に示すようになります。(値は相対値であり厳密ではありません。)
図20-1からわかるようにdy/dcの値は流速cが音速となる付近で値が負から正に変化します。yの値は音速付近で値が
最小となります。
yの値は断面積fと比例するように(20.11)式を定義しています。従って
(1)流速cが音速に達するまでは、流速cの増加により断面積fは小さくなる。
(2)流速cが音速を超えた場合は、流速cの増加により断面積fは大きくなる。
(3)音速はdy/dc=0を満足する流速cとなる。
従って音速cを与える式は
したがって
となります。(20.13)式のkは比熱比であり、厳密には温度で変化します。各気温における音速の
計算結果を表20-1に示します。
表20-1 各気温における音速の計算結果
気温 | 定圧比熱cp | 定容比熱cv | 比熱比k | 音速c |
℃ | kcal/kg・deg | kcal/kg・deg | 無次元 | (m/s) |
0 | 0.240 | 0.172 | 1.399 | 331 |
100 | 0.241 | 0.172 | 1.397 | 387 |
200 | 0.245 | 0.176 | 1.389 | 434 |
300 | 0.250 | 0.181 | 1.378 | 476 |
400 | 0.256 | 0.187 | 1.367 | 514 |
500 | 0.261 | 0.193 | 1.356 | 549 |
600 | 0.267 | 0.198 | 1.346 | 581 |
700 | 0.272 | 0.203 | 1.338 | 611 |
800 | 0.276 | 0.207 | 1.330 | 640 |
900 | 0.280 | 0.211 | 1.324 | 668 |
1000 | 0.283 | 0.215 | 1.319 | 694 |
1100 | 0.286 | 0.218 | 1.315 | 720 |
1200 | 0.289 | 0.220 | 1.311 | 745 |
1300 | 0.291 | 0.223 | 1.308 | 769 |
1400 | 0.293 | 0.225 | 1.305 | 792 |
1500 | 0.295 | 0.227 | 1.302 | 814 |
1600 | 0.297 | 0.228 | 1.300 | 836 |
1700 | 0.299 | 0.230 | 1.298 | 858 |
1800 | 0.300 | 0.231 | 1.296 | 878 |
1900 | 0.301 | 0.233 | 1.294 | 899 |
2000 | 0.303 | 0.234 | 1.293 | 919 |
2100 | 0.304 | 0.235 | 1.291 | 938 |
2200 | 0.305 | 0.236 | 1.290 | 957 |
2300 | 0.306 | 0.237 | 1.289 | 976 |
2400 | 0.307 | 0.238 | 1.288 | 994 |
2500 | 0.308 | 0.239 | 1.286 | 1012 |
2600 | 0.309 | 0.240 | 1.286 | 1030 |
2700 | 0.309 | 0.241 | 1.285 | 1047 |
2800 | 0.310 | 0.242 | 1.283 | 1064 |
2900 | 0.311 | 0.242 | 1.283 | 1081 |
3000 | 0.311 | 0.243 | 1.282 | 1098 |
表20-1から空気の温度が上昇すると音速cが大きくなることがわかります。
21章:運動の連続条件を満足する断熱過程の流れに行く。
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