31章:蒸気の等圧過程

    作成2012.07.27

  1. 蒸気の等圧過程
     蒸気の等圧過程は液体と湿り蒸気と過熱蒸気の領域でおこります。
     図31-1に蒸気の等圧過程説明図を示します。
     図31-1において、1点と2点は湿り蒸気または過熱蒸気の領域にあります。
     等圧過程において、1点から2点の間で受取った熱量qは

    となります。圧力pは

    であり、仕事lは


    となります。等圧過程においての内部エネルギーの変化は

    となります。


  2. 例題31-1
     乾き度x=0.9、圧力8ata、の水蒸気1kgを圧力一定にして、乾燥飽和水蒸気にするにはどれだけの熱を加える必要があるか?

    解答:
     圧力8ata(kp/cm2)飽和蒸気の物性はワークブック「湿り蒸気表.xls 」から

    表31-1 圧力8ata(kp/cm2)飽和蒸気の物性
    沸点 圧力 比容積 比容積 エンタルピ エンタルピ 熱量 内部エネルギ 平均比熱 比熱 エントロピ 総熱量 内部エネルギ 蒸発熱 エントロピ
    摂氏 絶対圧 液体 気体 液体 気体 液体 液体 液体 液体 液体 気体 気体 気体 気体
    t p v’ v’’ i’ i’’ q’ u’ c’m c’ s’ λ’’ u’’ r=i''-i' s’’
    kp/cm2 m3/kg m3/kg kcal/kg kcal/kg kcal/kg kcal/kg kcal/kg・deg kcal/kg・deg kcal/kg・deg kcal/kg kcal/kg kcal/kg kcal/kg・deg
    165 7.146 0.0011082 0.2724 166.50 659.60 166.31 166.31 1.0080 1.036 0.4757 659.41 614.01 493.10 1.6015
    169.6 8.000 0.0011139 0.2450 171.28 660.79 171.07 171.07 1.0087 1.035 0.4865 660.59 614.93 489.52 1.5926
    170 8.076 0.0011144 0.2426 171.70 660.90 171.49 171.49 1.0088 1.035 0.4875 660.69 615.02 489.20 1.5918

     圧力8ata(kp/cm2乾き度0.9蒸気の物性はワークブック「湿り蒸気表.xls 」から

    表31-2 圧力8ata(kp/cm2乾き度0.9蒸気の物性
    乾き度 比容積 エンタルピ 総熱量 内部エネルギ エントロピ
    vx(m3/kg) ix(kcal/kg) λ’’(kcal/kg) ux(kcal/kg) sx(kcal/kg・deg)
    0.9 0.220637 611.840 611.630 570.55 1.4819

    従って、(31.1)式から

    となります。


  3. 例題31-2
     200℃の過熱水蒸気を圧力6ataに保って300℃にする。この過程における熱量、膨張の仕事、内部エネルギの変化を求めよ。

    解答:
     過熱蒸気のエンタルピはワークブック「加熱蒸気表.xls」シート「加熱蒸気i」から
    圧力6ata(kp/cm2)で温度200℃過熱蒸気のエンタルピ=680.6kcal/kg
    圧力6ata(kp/cm2)で温度300℃過熱蒸気のエンタルピ=730.3kcal/kg
    従って

    となります。
    また、過熱蒸気の比容積はワークブック「加熱蒸気表.xls」シート「加熱蒸気v」から
    圧力6ata(kp/cm2)で温度200℃過熱蒸気の比容積=0.3591m3/kg
    圧力6ata(kp/cm2)で温度300℃過熱蒸気の比容積=0.4428kcal/kg
    膨張の仕事lは(31.3)式から

    となります。
    また、内部エネルギの変化は(31.4)式から

    となります。








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