38章:湿り空気

    作成2012.08.05

  1. 湿り空気の基礎パラメータ
     図38-1に蒸気の等温過程を示します。図38-1は一定温度において、蒸気は三つの状態を示しています。
     1点は水分が過飽和であり、蒸気の乾き度は1以下であり、一部が霧になっている状態です。この状態は相対湿度がψ=1以上の状態です。
     2点は飽和蒸気の状態であり、温度が決まると圧力も決まります。この飽和蒸気圧力ps=p2は空気の圧力Pに依存せずに一定となり、温度 だけで決まります。この状態は相対湿度ψ=1に相当します。
     3点は過熱蒸気であり、pv=RTの基礎方程式が適用できる領域です。この状態は相対湿度ψ=1未満となります。。



  2. 水蒸気と乾燥空気の分圧
       圧力の記号を以下のように定義します。

    相対湿度ψと飽和蒸気の分圧psと蒸気の分圧の関係は

    となります。また

    の関係があります。


  3. 混合気体の圧力・体積比
     温度が一定の混合気体の圧力p、体積をVとしたときpV=一定の関係があります。
     湿り空気の体積をV、乾燥空気の分体積をVa、蒸気の分体積をVvとしたとき


    の関係が成立します。乾燥空気の圧力・体積比をra、蒸気の圧力・体積比をrvとしたとき


    の関係が成立します。
    (ここでは比容積vではなく、体積Vを使用していますので注意が必要です。)


  4. 混合気体の質量比
     混合気体の質量をG、乾燥空気の質量をGa、蒸気の質量をGv、乾燥空気の質量比をga、蒸気の質量比をgvとしたとき

    ここで


    (38.8)式に(38.9)式と(38.10)式を代入すると

    同様にして

    となります。


  5. 混合気体のガス定数R
      (38.11)式と(38.12)式を加算すると1になります。

    (38.13)式を変形すると

    となります。


  6. 比容積
     蒸気の比容積vvは蒸気のガス定数をRv、分圧をpv、温度をTとすると

     乾燥空気の比容積vaは乾燥空気のガス定数をRa、分圧をpa、温度をTとすると

     混合空気の比容積vは混合空気のガス定数をR、圧力をp、温度をTとすると

    または

    の関係が成立します。


  7. エンタルピ
     蒸気のエンタルピをiv、乾燥空気のエンタルピをia、混合空気のエンタルピをiとしたとき

    となります。


  8. エントロピ
     蒸気のエントロピをsv、乾燥空気のエントロピをsa、混合空気のエントロピをsとしたとき

    となります。


  9. 湿り蒸気計算のワークブック「湿り空気.xls」のダウンロード
      湿り蒸気の具体的な計算はかなり厄介です。蒸気の物性は実験による数表であり、理論式として表現できません。また、乾燥空 気の比熱は温度で変化するためこれも数表となります。

     このような場合、EXCELのワ−クブックを利用すると効率的に計算できます。

     下記のワークブック「湿り空気.xls 」をダウンロードしてください。

     ダウンロード後はダブルクリックで解凍してから使用してください。
     
    ワークブック「湿り空気.xls.xls 」をダウンロードする。


  10. ワークブック「湿り空気.xls 」説明
    1. シート「湿り空気」は計算条件の設定と計算結果の表示を行います。
    2. シート「乾燥空気」は乾燥空気数表です。
    3. シート「拡張湿り蒸気表」は拡張湿り蒸気数表です。
    4. シート「拡張加熱蒸気s」はエントロピs数表です。
    5. シート「拡張加熱蒸気i」はエンタリピi数表です。
    6. シート「拡張加熱蒸気v」は比容積v数表です。
    注(1) 「拡張湿り蒸気表」 「拡張加熱蒸気s」 「拡張加熱蒸気i」 「拡張加熱蒸気v」の一部は実験値ではなく推定値を使用しています。
    注(2)計算はシート「湿り空気」の温度と混合空気圧力と相対湿度のみを設定してください。










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