39章:ワークブック「湿り空気.xls」の演習

    作成2012.08.08

  1. 例題39-1
     圧力1ata、温度25℃、相対湿度0.5の湿り空気を6ataに圧縮して、温度を-20℃まで冷却して水分を除去したドライエアーを  圧力1ata、温度25℃に戻したときの相対湿度を求めよ。

    解答 (1)ワークブック「湿り空気.xls」シート「湿り空気」に条件を設定します。

    表39-1 圧力1ata、温度25℃、相対湿度0.5の湿り空気の設定条件
    項目 記号 単位
    温度 25.000
    混合空気圧力 p 1.000 ata(kp/cm2)
    相対湿度 ψ 0.500 無次元
    乾燥空気ガス定数 Ra 29.270 m・kp/kg・K
    水蒸気ガス定数 Rv 47.068 m・kp/kg・K

    相対湿り空気計算結果は下記のようになります。

    表39-2 相対湿り空気計算結果
    項目 記号 単位
    蒸気分圧 pv 0.016145 ata(kp/cm2)
    空気分圧 pa 0.983855 ata(kp/cm2)
    蒸気分圧比 rv 0.016145 無次元
    空気分圧比 ra 0.983855 無次元
    混合空気ガス定数 R 29.449790 m・kp/kg・K
    蒸気質量比 gv 0.010102 無次元
    空気質量比 ga 0.989898 無次元
    蒸気比容積 vv 86.877000 m3/kg
    空気比容積 va 0.887000 m3/kg
    混合空気比容積 0.877604 m3/kg
    蒸気エンタルピ iv 6.142000 kcal/kg
    空気エンタルピ ia 5.950000 kcal/kg
    混合空気エンタルピ i 12.091000 kcal/kg
    蒸気エントロピ sv 0.021479 kcal/kg・deg
    空気エントロピ sa 0.020852 kcal/kg・deg
    混合空気エントロピ s 0.042330 kcal/kg・deg

    表39-2から蒸気の質量比は0.010102であることがわかります。

    (3)シート「湿り空気」に下記の操作を行います。
    ・温度に25℃を設定
    ・圧力に1ataを設定
    ・セルG18(蒸気質量比)を選択
    ・メニュー「ツール」_「ゴールシーク」を選択
    ・目標値に0.000135を設定
    ・変化させるセルにC6(相対湿度)を設定
    ・OKボタンを押します。
    実行結果は以下のようになります。

    表39-5 湿り空気入力条件表
    項目 記号 単位
    温度 25.000
    混合空気圧力 p 1.000 ata(kp/cm2)
    相対湿度 ψ 0.009 無次元
    乾燥空気ガス定数 Ra 29.270 m・kp/kg・K
    水蒸気ガス定数 Rv 47.068 m・kp/kg・K

     表39-5から、ドライエアーを 圧力1ata、温度25℃に戻したときの相対湿度は0.909%と非常に低いことがわかります。
     ドライエアーは水分を嫌う機器で多く使用されますが、高圧に圧縮後低温に冷却するのが効果的です。
     なお、相対湿り空気計算結果表のエンタルピとエントロピの計算結果が#N/Aとなりますが、水蒸気の分圧が低すぎて数表の範囲外 となったためです。(このような場合は、乾燥空気として扱っても大きな誤差は生じません。)

     空気中の水蒸気を除去するには、圧縮して冷却するのが有効です。逆に湿った物体を乾燥するには、圧力を小さくして温度を上げ るのが有効です。真空中では、低温で水が沸騰しますので圧力を下げると低温乾燥が可能となります。


  2. 例題39-2
     圧力1ata、温度35℃、相対湿度0.5の湿り空気中に同温度の水を霧状にして噴霧して相対湿度1に変化させたときの温度を求めよ。

    解答
    (1)ワークブック「湿り空気.xls」シート「湿り空気」に条件を設定します。

    表39-6 圧力1ata、温度35℃、相対湿度0.5の湿り空気の設定条件
    項目 記号 単位
    温度 35.000
    混合空気圧力 p 1.000 ata(kp/cm2)
    相対湿度 ψ 0.500 無次元
    乾燥空気ガス定数 Ra 29.270 m・kp/kg・K
    水蒸気ガス定数 Rv 47.068 m・kp/kg・K

    相対湿り空気計算結果は下記のようになります。

    表39-7 相対湿り空気計算結果
    項目 記号 単位
    蒸気分圧 pv 0.028665 ata(kp/cm2)
    空気分圧 pa 0.971335 ata(kp/cm2)
    蒸気分圧比 rv 0.028665 無次元
    空気分圧比 ra 0.971335 無次元
    混合空気ガス定数 R 29.590740 m・kp/kg・K
    蒸気質量比 gv 0.018021 無次元
    空気質量比 ga 0.981979 無次元
    蒸気比容積 vv 50.574000 m3/kg
    空気比容積 va 0.928000 m3/kg
    混合空気比容積 0.911395 m3/kg
    蒸気エンタルピ iv 11.038000 kcal/kg
    空気エンタルピ ia 8.264000 kcal/kg
    混合空気エンタルピ i 19.303000 kcal/kg
    蒸気エントロピ sv 0.037389 kcal/kg・deg
    空気エントロピ sa 0.028482 kcal/kg・deg
    混合空気エントロピ s 0.065870 kcal/kg・deg

    表39-7から混合空気のエントロピは0.06587kcal/kg・degであることがわかります。

    (2)シート「湿り空気」に下記の操作を行います。
    ・相対湿度に1を設定(変更し)
    ・温度に35℃を設定(変更無し)
    ・圧力に1ataを設定(変更無し)
    ・セルG28(混合空気エントロピ)を選択
    ・メニュー「ツール」_「ゴールシーク」を選択
    ・目標値に0.06587を設定
    ・変化させるセルにC4(温度)を設定
    ・OKボタンを押します。
    実行結果は以下のようになります。

    表39-8 湿り空気入力条件表
    項目 記号 単位
    温度 26.000
    混合空気圧力 p 1.000 ata(kp/cm2)
    相対湿度 ψ 1.000 無次元
    乾燥空気ガス定数 Ra 29.270 m・kp/kg・K
    水蒸気ガス定数 Rv 47.068 m・kp/kg・K

     表39-8から温度は35℃から26℃と約9℃も下がることがわかります。
     以上の計算はエントロピ一定として温度を温度を求めましたが、エンタルピ一定として計算しても同じ結果となります。
     例題39-2では圧力一定のため、エンタルピ一定としても計算ができますが、圧力が変化する場合の断熱変化はエントロピ一定 が正しく、エンタルピ一定は成立しません。(エントロピ一定が正しい計算方法です。)










40章:現在文明とエネルギー問題に行く。

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