43章:粘性係数と動粘性係数

    作成2012.08.11

  1. 使用する記号と単位
     使用する記号と単位は工学書によりさまざまです。熱力学では、熱力学独特の記号と単位を使用していますが物体の運動を検討する場合は、物理 で使用する記号と単位を使用したほうがスマートに記述できます。
     しかし、工学的な実験データには多くの場合、工学単位が使用されています。このような場合、計算式は物理単位で記載して、計算 時には物理単位に変換して計算すれば問題ありません。


  2. 粘性係数の定義
     図43-1に粘度の定義説明図を示します。
     図43-1において容器には粘性係数μの粘性流体が満たされており、隙間dyで移動物体を設置します。
     移動物体の面積がAで速度duで移動すると
    下記式の抵抗力Fが発生します。
    せん断力τを τ=F/Aとすると


    となります。粘性係数μの基本単位はPa・sです。



  3. 動粘性係数の定義
     粘性係数を密度ρで割ったのが動粘性係数νです。

    動粘性係数νの基本単位はm2/sです。


  4. 水の粘性係数
     水の粘性係数を図43-2に示します。


     図43-2のグラフの単位はg/cm・sとなっていますので注意が必要です。
     例えば、図43-2において20℃の粘性係数は約0.01g/cm・sです。これは
     0.01g/cm・s=0.001Pa・s=1mPa・sに相当します。


  5. 水の動粘性係数
     動粘性係数は(43.3)式で計算します。水の比質量ρは1g/cm3です。従って20℃の動粘性係数は
     ν=μ/ρ=0.01/1=0.01cm2/sとなります。
     標準単位に変換すると
      0.01cm2/s=0.000001m2/sとなります。


  6. 空気の粘性係数
     空気の粘性係数を図43-3に示します。


     図43-3のグラフの単位はg/cm・sとなっていますので注意が必要です。また関係湿度とは相対湿度のことです。
     例えば、図43-3において20℃の粘性係数は約0.00018g/cm・sです。これは
     0.00018g/cm・s = 0.000018 Pa・s= 0.018mPa・sに相当します。


  7. 空気の動粘性係数
     動粘性係数は(43.3)式で計算します。
     空気の比質量ρはEXCELワークブック「湿り空気.xls」で計算できます。
      20℃、1気圧、相対湿度0.75の混合空気比容積v=0.863(m3/kg)となります。従って
     動粘性係数ν=μ×v= 0.000018 ×0.863=0.000155(m2/s)となります。










44章:水の表面張力と接触角に行く。

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