44章:水の表面張力と接触角

    作成2012.08.12

  1. 表面張力の定義式
     水の表面には図44-1に示すように微小長さdsと直角方向に張力dFが作用します。表面張力σは以下の式で定義されます。

    表面張力σは(44.1)式に示すようにN/mの単位を持ちます。



  2. 水の表面張力の値
     水の表面張力の値を表44-1に示します。

    表44-1 水の表面張力(単位 N/m)
    温度 ℃ 0 20 40 60 80 100
    表面張力N/m 0.0756 0.0728 0.0696 0.0661 0.0626 0.0589


  3. 接触角
     微小な水滴を平板の上に乗せると図44-2の(a)または(b)のような状態となります。
     水と平板表面の引力が強いとき(a)のようになり、引力が強いほど接触角αが小さくなります。
     逆に水と平板表面の引力が弱いとき(b)のように接触角αは大きくなります。接触角αは平板表面の状態に依存します が、表面処理により大きく変えることができます。
      (a)を親水性、 (b)を疎水性といいます。



  4. 毛管現象
     細い管を水につけると図44-3に示すように管内の水面が変化します。
     親水性の場合は(a)のようになります。撥水性の場合は(b)のようになります。
     管内の力のバランスから

    (44.2)式のgは重力加速度9.81m/s2です。 (44.2)式を 変形すると



  5. 例題44-1
     内径0.001m、接触角45℃の毛管を水につけたら、管内に水面が0.021mとなった。水の表面張力の値を求めよ。

    解答:
      (44.3)式から

    となります。


  6. 表面張力による圧力差
     水面は表面張力のため、あたかも弾性膜で覆われたように、常に収縮しようとする結果、表面内外で圧力差を生じます。
     図44-4に示す力のバランスから

    ゆえに


    となります。表面張力σ=0.0728N/mとしたとき、水滴の直径と圧力の関係は図44-5に示すようになります。


    図44-5から水滴の内圧は水滴の直径が小さいほど大きくなることがわかります。












45章:理想流体のエネルギー方程式に行く。

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