56章:曲管による損失
作成2012.09.05
曲管による損失実験式
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図56-1に示すような曲管内を流体が流れる場合は一部に渦を生じ損失を起こす。1-2間の圧力損失をΔpとすれば
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となります。(56.1)式においてζは流れの方向の転換による損失係数であり、λは管摩擦係数、dは管の内径、lは管の長
さです。流れの方向の転換による損失係数ζは下記式となります。
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(56.2)式において、θの単位は度となります。また、rは曲管の曲率半径です。
曲管部での損失グラフ
曲がり角度を90度とし、内径20cm、流量0.0942m3/s、20℃の水とします。
水の粘性係数図43-2から水の比質量ρは1g/cm3です。従って20℃の動粘性係数はν=μ/ρ=0.01/1=0.01
cm2/sとなります。
標準単位に変換すると 0.01cm2/s=0.000001m2/sとなります。
流速uは
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レイノルズ数Rは
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ワークブック「管摩擦係数-1.xls」から
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曲管部の長さlは
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したがって
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となります。
曲管の損失係数計算結果グラフを図56-2に示します。
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図56-2から流れの方向の転換による損失係数ζはr/d=1.5以下で急激に大きくなることがわかります。
また、管摩擦係数λの影響は管長さlに比例して大きくなります。このため、この例では合計の損失は
r/d=2で最小になります。管長さlは別の理由で決定されるため、 r/d=2で必ずしも最小になるわけではありません。
流れの方向の転換による損失を減らすためにはr/d=2以上とする必要があります。
例題56-1
曲がり角度を90度とし、内径20cm、流量0.0942m3/s、20℃の水とします。ある点で90度流れの方向を変える場合、
曲がり部分の損失を最小とするには曲率半径は何mか?また、このときの曲管部分の圧力損失は何Paか?
解答
水の粘性係数図43-2から水の比質量ρは1g/cm3です。従って20℃の動粘性係数はν=μ/ρ=0.01/1=0.01cm2/s
となります。標準単位に変換すると 0.01cm2/s=0.000001m2/sとなります。
図56-2からr/d=2で合計の損失係数は最小となります。したがって曲率半径rは
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となります。また圧力損失は(56.1)式から
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となります。この例題では、曲管部分の圧力損失のみを課題としましたが、実際には管の全長が重要となります。場合
によっては曲率半径を大きくした方が全長が短くなることもあります。したがって、 、曲管部分の圧力損失を減らすに
はr/dを2以上にすれば良いことになります。
57章:水路に行く。
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