58章:オリフィス

    作成2012.09.09
     管の途中に丸い穴の開いた仕切り板を設けた場合、この仕切り板をオリフィスといいます。流体が ここを通るとオリフィスの前後で圧力差が生じます。
     具体的な応用例としてはエアーベアリングのオリフィスがあります。

  1. オリフィスの実験式


     図58-1に示すように管(断面積A1)内の流れはオリフィス(断面積A)を出たところで、その主流は最小断面 (断面積A2)に絞られた後、漸次膨張して管一杯に流れます。
     A1、A2における平均流速をq1、q2とすればベルヌーイの式より

    また連続条件から

    (58.1)式に(58.2)式を代入して整理すれば

    となります。流量Qは

    ここで

    とするならば

     となります。 (58.5)式がオリフィスの実験式であり、定数αを流量係数といいます。流 量係数αは無次元であり、実験的に求めます。


  2. 流量係数α


     図58-2(a)にJISオリフィスの形状と圧力p1、p2の測定条件を示します。図58-2(b)は各種条件における管路中 間においた場合の流量係数α(単位無次元)の値を示します。ここでレイノルズ数Rは

    で定義されます。また面積比mは

     で定義されます。図58-2(b)からわかるようにレイノルズ数Rが一定値以上において、流量係数αは一定値となり ことがわかります。


  3. オリフィスを管路の入口、途中、出口につけた場合
     オリフィスを管路の入口、途中、出口につけた場合の流量係数αe、αc、αaとしたグラフを図58-3に示します。

     図58-3はレイノルズ数Rが十分大きいときの流量係数です。オリフィスを管路の入口につけるとD=∞ となり、m=0となります。
     従って、流量係数αe=0.6で一定となります。m=0.05においてαc=αa=0.598となりますが

    としても問題ないと思います。


  4. 気体の実験式
     気体の場合は液体の流量係数αに補正係数εをかけて補正します。気体の実験式は

    となります。補正係数εの値を図58-4に示します。

    図58-4は、オリフィスとノズル・ベンチュリの補正係数εであり、圧力比p2/p1と直径比d/Dで変化します。


  5. 例題58-1
     内径20cmの円管の途中に孔径11cmのJIS規格のオリフィスを取付けて、この中を通る空気量を計測します。オリ フィス前後の圧力差が1216Paになったとすれば空気の流量は何m3/sになるか?
     オリフィス直前の圧力は101990Pa、温度は20℃とする。

    解答
     面積比は

    圧力比は

    流量係数αは図58-3から

    補正係数εは図58-4から

    空気の比質量ρは圧力pの単位がPaの場合

    従って流量Qは

    管内の平均流速q1は

    図43-3のグラフから20℃の空気の粘性係数は約0.00018g/cm・sです。これは 0.00018g/cm・s = 0.000018 Pa・sに相当します。
    動粘性係数ν=μ/ρ= 0.000018 /1.212=0.0000149(m2/s)となります。
     レイノルズ数Rは

     図58-2(b)においてm=0.3ではR=85000以上で流量係数αは一定となります。これ は上記の流量計算が成立することを意味します。












59章:ノズルとベンチュリ管に行く。

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