59章:ノズルとベンチュリ管
作成2012.09.11
ノズルの実験式
ノズル孔の断面積をAとして、実験式は下記となります。

(58.10)式において、εは補正係数、αは流量係数、ρは比質量です。
ノズルの形状と流量係数

図59-1(a)にJISノズルの形状と圧力p1、p2の測定条件を示します。図59-1(b)は各種条件における管路中
間においた場合の流量係数α(単位無次元)の値を示します。ここでレイノルズ数Rは

で定義されます。また面積比mは

で定義されます。図59-1(b)からわかるようにレイノルズ数Rが一定値以上において、流量係数αは一定値
となりことがわかります。
ノズルを管路の入口、途中、出口につけた場合
ノズルを管路の入口、途中、出口につけた場合の流量係数αe、αc、αaとしたグラフを図59-2に示します。

図59-2はレイノルズ数Rが十分大きいときの流量係数です。オリフィスを管路の入口につけるとD=∞となり、
m=0となります。
従って、流量係数αe=0.99で一定となります。m=0.05においてαc=0.987、αa=0.982となりますが

としても問題ないと思います。
JISベンチュリ管の形状
図59-3にJISベンチュリ管の形状を示します。

JISベンチュリ管の実験式
JISベンチュリ管の実験式はJISノズルと同一です。

JISベンチュリ管の流量係数をαv、 JISノズルの流量係数をαnとすると

となります。また補正係数εはノズルと同一です。
例題59-1
水タンクとその下方に水槽(幅180cm、長さ110cm)がある。水タンクの水面下75cmの側壁に直径22mmの
ノズルを設け、水槽に水を落下したところ、5分6秒後に水槽の水深が23cm増した。
この時のノズルの流量係数はいくらか?ただし、水タンクの水面は一定に保たれているとします。
解答
補正係数ε=1とし、 (58.10)式を変形すると

ノズルの断面積Aは

流量Qは

圧力差p1-p2は

従って、流量係数αは

となります。日常使用する単位と計算で使用する単位は異なることが多いので、単位の変換が重要です。
例題59-2
内径150mmの水道管の途中に孔径100mmのJIS規格のベンチュリ管を取付けたところ、ベンチュリ管の圧力差
が33860Paになった。この場合の水量は何m3/sか?ただし、水温は20℃とする。
解答
面積比mは

M=0.444に対する流量係数は図59-2から

流量Qは

管内の平均流速q1は

図43-2のグラフから20℃の水の動粘性係数はν=0.000001m2/sとなります。
レイノルズ数Rは

図59-1(b)においてm=0.444ではR=160000以上で流量係数αは一定となります。これは上記の流量計算
が成立することを意味します。
60章:堰(せき)に行く。
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