13章:交流
作成2013.01.29
- 交流発電の原理
図13-1に交流発電の原理を示します。(a)コイル回転と(b)磁石回転がありますが磁界とコイルの相対運動は同じとなります。
磁束密度B〔T〕(〔Wb/m2〕)、コイルの胴体の長さl〔m〕、導体の移動方向が磁界と直角で速度がv〔m/s〕とすると、導体が1s 間に移動する距離vtはv×1=v〔m〕、導体が磁束と交差する面積はlvsinθ〔m2〕、よって、1s 間の磁束の変化数は-Blvcosθ、よって起電力Eは
回転子の速度v〔m/s〕は直径D〔m〕、1秒間の回転数をn回〔rps〕とすると
磁束密度(平均)B〔T〕は1極当たりの磁束をΦ〔Wb〕、極数をp、導体の長さをl〔m〕とすると、
(13.1)式に(13.2)式と(13.2)式を代入すると
と比較的簡単な式となります。(13.4)式はコイル1個当たりの起電力となりますが、全コイルの
巻き数Zとコイルの並列結線数aで起電力は変化します。起電力の倍率mは
(13.4)式と(13.5)式から一般てきな交流発電機の起電力は
となります。(13.6)式は正弦波を表わしており、角速度をω、最大値をEmとし、位相を変化させれば
と表わすことができます。全くおなじ2点間を「1サイクル」といい、1サイクルの要する時間を「周期」といいます。
- 実効値
交流の瞬時値はたえず変化します。それで、R(Ω)の抵抗に電流が流れた場合の発熱において、直流
と等しい値で実効値を定義します。すなわち
となります。
またθが0からπの平均値は
となります。
また、一般的に
といいます。
- 例題13-1
200Vの交流電圧と最大値と平均値はいくらか?
解答
- リアクタンス電圧
いま、L(H)の純インダクタンス(抵抗が無視できるもの)に
の電流を流した場合、その端子電圧は
となります。すなわち最大値がωLImで電流よりも位相がπ/2進んだ電圧となります。
逆に
の電圧を加えた場合
となります。すなわち、最大値がVm/ωLで位相がπ/2遅れた電流が流れることになります。つまり、L(H)のインダクタンスはωL[Ω]の抵抗と同様の電流阻止作用があるおとになります。
それで、これをリアクタンス(Xで表わす)と名づけて抵抗と同様に扱い、オーム[Ω]を単位とします。
- 例題13-2
10mHのインダクタンスに50Hz、100Vの電圧を加えたら何A流れるか?
解答
- RL直列回路
図13-2に示すようにRとLが直列の回路において
の電流が流れたとすると
となります。
そこで、逆にV(V)をこの直列回路に加えると
したがって
連立方程式を解くと
したがって電流は
となります。そこで
とするならば、抵抗Rと同一の電流阻止作用をすることになります。
- 例題13-3
抵抗8Ω、リアクタンス6Ωのコイルに200Vの正弦波交流電圧を加えると何A流れる
か?またこのコイルのインピーダンスはいくらか?
解答
- RLC直列回路
C(F)コンデンサに
の電圧を加えるとコンデンサに蓄えられる電荷は
です。電流は
となります。抵抗Rと同等な容量リアクタンスは
となります。
図13-3に示すRLC直列回路の両端に
を加えると
となります。従ってインピーダンス(Z)は
となります。インピーダンス(Z)は通常抵抗Rと同様に扱うことができま
す。θがプラスのとき、電流は電圧より位相がθ遅れます。
14章:ベクトル表示と記号法に行く。
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