15章:交流電力
作成2013.02.12
- 有効電流と無効電流
図15-1に示すRC並列回路に交流電圧
をかけると、抵抗には
の電流が流れます。コンデンサには
の電流が流れます。電力Pを電圧と電流の実数部の積と定義すれば
従って
となります。すなわち、抵抗では電力が消費されますが、コンデンサでは電力が消費されないことになります。
なぜ?複素数において電力を単純に複素電圧と複素電流の積と定義せずに電力Pを電圧と電流の実数部の積と定義するかは疑問が生じるかのしれません。
しかし、複素数の性質を利用して電力Pを定義する場合、こうしないとつじつまが合わなくなります。電力は下記のようにも定義できます。
「電力」=「電圧ベクトルと電流ベクトルの内積」
上記のように定義すると矛盾なく電力の計算ができます。
抵抗のように、電力を消費する電流を「有効電流」
コンデンサのように電力を消費しない電流を「無効電流」
といいます。
図15-3に示すRL直列回路においても全く同様に
となり、無効電流となります。
図15-3に示す直列回路において、抵抗がR,リアクタンスがXとした場合、下記の関係式が成立します。
交流電圧を
電流を
と定義したとき電力Pは
となります。(15.11)式はcosθの固定値と2ωtの周期関数の和となっています。(15.11)式の時間平均値は
となります。
- 力率
交流電圧Vと交流電流Iを最大値でなく、実効値を使用した場合、
となります。また以下の関係式が成立します。
- 例題15-1
ある回路に200Vの交流電圧を加えたら5.0Aが流れて600Wを消費した。この回路の力率はいくらか?
解答
- 例題15-2
上記の回路の皮相電力と無効電力はいくらか?
解答
- 例題15-3
コイルに直流160Vを加えたら3200Wを消費し、交流200Vを加えても3200Wを消
費した。このコイルの抵抗RとリアクタンスXはいくらか?
解答
- 電力の合成
図15-5に示す回路の合成電力は
となります。また合成皮相電力は
となります。電力と無効電力がわかっているときは、
- 例題15-4
12kW、力率1の電熱器と24kW、力率0.6の電動機を並列接続した場合の合成力率はいくらか?
解答
- 例題15-5
12kW、力率1の電熱器と24kW、力率0.6の電動機と17kVar、力率0のコンデンサを並列接続した
場合の合成力率はいくらか?
解答
16章:変圧器と電力計に行く。
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