4章:エリプソメータの計算

    作成2013.05.09

     エリプソメータは薄膜の膜厚測定に良く使用されます。

  1. エリプソメータの原理
     薄膜多重干渉の理論については、光の不思議と応用 10章:多光束干渉
    9章:反射と屈折の法則に行く。
     を参照願います。


  2. リプソメータの計算式
     図4-1において表面反射は

     物体N1とN2の境界面の反射は

     薄膜多重干渉の式から

     S偏光の反射率は

     エンリプソメータではP偏光とS偏光を以下のように変換します。

     (4.9)式と(4.10)式の定義は装置により異なる可能性があります。


  3. エリプソメータの計算プログラム
     EXCELの表計算でも可能ですが、C#、WPFアプリケーションで作成します。

     完成ファイルは以下からダウンロードできます。
     ダウンロード後は解凍してから使用してください。
      [エリプソメータ]をダウンロードする。
     解凍すると「Ellipso」フォルダーがあります。
    「Ellipso」フォルダー内の「Ellipso.sln」をダブルクリックすると「Express 2012 for Windows Desktop」が起動して、プログラムの修正・デバッグが可能です。
     「Ellipso.exe」をダブルクリックすると実行プログラムが起動して、エリプソメータの計算が可能となります。


  4. 操作説明
    (1)計算実行ボタンを押すと数表が作成されます。
    (2)グラフ表示ボタンを押すとグラフが表示されます。
    (3)戻るボタンで主画面に戻ります。
    (4)再度計算実行ボタンを押して数表を作成します。
    (5)メニューの「保存」を選択すると、数表をタブ区切りテキスト形式で保存できます。
    (6)クローズボックスで終了します。


    感想:
    (1)エリプソメータはプサイ(ψ)とデルタ(Δ)の2つのパラメータを精密測定します。
    (2)プサイ(ψ)とデルタ(Δ)から基板の複素反射率を求めることができます。
    (3)基板の複素反射率と薄膜の複素反射率が既知の場合、膜厚を求めることができます。
    (4)膜厚に対して、プサイ(ψ)とデルタ(Δ)は周期的に変化するため、あらかじめ 膜厚予想値を設定する必要があります。
    (5)膜厚予想値がずれている場合、周期ずれを起こす可能性が高くなります。
    (6)薄膜の屈折率が不明の場合、屈折率の虚数部をゼロに設定し、屈折率の実数部と膜厚 を同時に求めることができます。
    (7)多層膜基板上の薄膜の厚さを測定する場合、多層膜基板の複素屈折率を測定し、測定 した複素屈折率を設定することにより、多層膜基板上の薄膜の厚さを近似的に測定できます。

    (8)ほとんどの物質は空気中で酸素と結合し、表面に酸化膜が形成されます。 シリコン基板でも例外ではなく、表面に自然酸化膜が形成されます。
    (9)基板の複素屈折率の設定は、実測した複素屈折率を設定したぼうが、基板表面の 酸化膜の影響が軽減します。
    (10)エリプソメータの使いこなしは結構難しいものがあります。 測定原理を理解し、種々のケースでプサイ(ψ)とデルタ(Δ)の計算を 行うことが重要です。









5章:連立1次方程式に行く。

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