7章:高圧タンクの強度の検討(1)

    作成2013.05.15

  1. 高圧タンクの構造図
     蓋の開閉が可能で内部に高圧がかけられる構造例を図7-1に示します。

    (1)パイプを底板の結合はメートル細めネジで結合し、全周溶接で密閉されるとします。(これにより溶接強度の検討が省略できます。)
    (2)パイプと上部フランジとの結合はメートル細めネジで結合し、全周溶接で密閉されるとします。(これにより溶接強度の検討が省略できます。)
    (3)上部フランジにはOリングとOリング溝があり、上部蓋で密閉できる構造とします。
    (4)上部蓋と上部フランジは8本以上のボルトで固定されます。
    (5)底板と上部蓋には、高圧の液体供給と排液のためのテーパネジ穴があるとします。


  2. 円筒の応力と変形の計算式
     円筒の応力と変形の計算式の計算式については工学関係の雑学 13章:円筒の応力と変形
    13章:円筒の応力と変形に行く。
     を参照願います。



  3. 円筒の内径と外径
     円筒の内径と外径は必要寸法とパイプの規格寸法から決定されます。一例として以下のように寸法を決定します。
    (1)使用パイプ:JIS G 3459 配管用ステンレス継目無鋼管100Aスケジュール80(外径Φ114.3mm、内径Φ97.1mm
    (2)底部の有効内径:底部のネジをM100×2とするとネジの有効径はΦ98.7mmとなります。従って底部は外径Φ114.3mm(半径57.15)、内径Φ98.7mm(半径49.35)
    (3)上部の有効外径:上部のネジをM115×4とするとネジの有効径はΦ112.4mmとなります。従って上部は外径Φ112.4mm(半径56.2)、内径Φ97.1mm(半径48.55)(パイプ外形がM115の外形より小さくなりますがねじ山が大きいため固定できます。)
     これらの強度計算のためのプログラムを用意しました。


  4. 円筒の応力と変形の計算プログラム
     C#、WPFアプリケーションで作成しました。

     完成ファイルは以下からダウンロードできます。
     ダウンロード後は解凍してから使用してください。
      [円筒の応力と変形の計算プログラム]をダウンロードする。
     解凍すると「Pipe」フォルダーがあります。
    「Pipe」フォルダー内の「Pipe.sln」をダブルクリックすると「Express 2012 for Windows Desktop」が起動して、プログラムの修正・デバッグが可能です。
     「Pipe.exe」をダブルクリックすると実行プログラムが起動して、円筒の応力と変形の計算が可能となります。


  5. 操作説明
    (1)Pipe.exe」をダブルクリックします。
    (2)計算実行ボタンを押すと安全率と各半径位置の応力と変形を計算します。
    (3)メニューの「保存」を選択して計算結果を保存します。
    (4)クローズボックスで終了します。


  6. 設定パラメータ
    (1)データ行数:計算位置の分割数を設定します。
    (2)加圧モード:内圧または外圧を選択します。
    (3)ヤング率:材料の縦弾性係数を設定しあす。
    (4)ポアソン比:材料のポアソン比を設定します。
    (5)内半径:円筒の内半径を設定します。
    (6)外半径:円筒の外半径を設定します。
    (7)耐力:材料の耐力を設定します。
    (8)圧力:内圧または外圧の圧力を設定します。
    (9)安全率:自動計算されます。


  7. 計算結果の見解
    (1)計算にしようしたJIS G 3459 配管用ステンレス継目無鋼管100Aスケジュール80(外径Φ114.3mm、内径Φ97.1mmは標準パイプのなかでは、肉厚は厚めです。
    (2)この条件において、安全率約2が確保できる圧力は約15N/mm^2(=15MPa)となります。
    (3)具体設計においては、さらに蓋やボルトの強度の検討が必要となります。


    感想:
    (1)C#、WPFアプリケーションを使用すると数表のサイズを自由に設定できるため 操作画面がスマートになります。








8章:高圧タンクの強度の検討(2)に行く。

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