10章:タイマー回路
作成2014.01.14
トランジスタを使用したタイマー回路でLEDを点灯します。
- タイマー回路(1)
(1)評価回路
図10-1に示すタイマー回路は、コンデンサに電荷を蓄積し、蓄積した電荷でトランジスタを駆動してLEDを点灯します。
この回路の時定数は
τ=CR=10E-6×200E+3=2s
となります。
この回路の電圧と電流変化をCh1、Ch2、Ch3,、Ch4点について簡易オシロで測定します。
(2)簡易オシロによる電圧変化測定結果
簡易オシロによる電圧変化測定結果を図10-2に示します。
図10-2において、LEDに流れる電流は(Vch4-Vch3)/220Ωとして求めることができます。この電流値は時定数2sで減少し点灯したLEDの明るさは暗くなっていきます。
(3)電流増幅率の算出
図10-2の結果から電流増幅率は容易に計算できます。
横軸をベース電流、縦軸を電流増幅率としてグラフにすると、図10-3に示すようになります。
図10-3から、電流増幅率はベース電流とは無関係で一定であり、平均値は約318とほぼ一定であることがわかります。
トランジスタ2SC1815の電流増幅率規格は最小70、最大700、標準100とあり、かなりのバラツキを許容しています。図10-3の結果はほぼ標準的な結果といえます。
(4)トランジスタ2SC1815のベース電圧・電流特性
図10-2の結果からトランジスタ2SC1815のベース電圧・電流特性を計算できます。計算結果グラフを図10-4に示します。
図10-4のグラフから、ベース電圧0.55〜0.69Vにおけるベース電流の値を求めることができます。
- タイマー回路(2)
(1)評価回路
図10-5に示すタイマー回路は、コンデンサに電荷に電気が蓄積されると電流が減少し、LEDが消灯します。
この回路の時定数は
τ=CR=10E-6×201.5E+3=2.015s
となります。
この回路の電圧と電流変化をCh1、Ch2、Ch3,、Ch4点について簡易オシロで測定します。
(2)簡易オシロによる電圧変化測定結果
簡易オシロによる電圧変化測定結果を図10-6に示します。
図10-6のグラフにおいてCh1にノイズがのっていることが確認できます。各チャンネルの電圧変化も矛盾した結果となりました。
LEDは計算した時定数で正しく点灯し消灯していくのですが、簡易オシロでの電圧変化は矛盾しています。これは、タイマー回路(2)が簡易オシロの入力抵抗推奨値を大幅にオーバーしているためで、正しく測定できないという結果となりました。
- 結果の検討
(1)CR回路の時定数を利用してタイマー回路を構成できる。
(2)タイマー回路(1)では、各点の電圧変化を簡易オシロで正確に測定できる。
(3)タイマー回路(1)の電圧変化測定結果から、トランジスタの電流増幅率Hfeを計算できる。
(4)トランジスタの電流増幅率Hfeはベース電流とは無関係に一定値となる。
(5)タイマー回路(1)での各点の電圧変化からトランジスタのベース電圧・電流特性を計算できる。
(6)タイマー回路(2)では、LEDは正常に動作するが、簡易オシロで各点の電圧変化を正確に測定できない。
11章:LED調光回路に行く。
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