14章:マルチバイブレータ回路
作成2014.01.20
マルチバイブレータ回路を検討します。
- マルチバイブレータ回路(1)
(1)評価回路図
図14-1に示すマルチバイブレータ回路(1)はマルチバイブレータ回路の片側半分を切り出したものです。
まずは、この回路の動作を確認します。
(2)簡易オシロによる電圧変化測定結果
簡易オシロによる電圧変化測定結果を図14-2に示します。
図14-2の結果は、マルチバイブレータの動作原理を理解する上で重要です。
(3)初期状態(SWはプラス側の接続)
・SWはプラス側の接続しています。
・Vch1は電源電圧5.2Vです。(簡易オシロは5Vでオーバーフロー)
・Vch2はベース電圧で約0.8Vです。
・Vch3はコレクタ電圧で約0.2Vです。
・LEDに流れる電流はI=(Vch4-Vch3)/220=0.014A程度となり点灯しています。
(4)SWをマイナス側に切り替えた瞬間
・Vch1は0Vです。
・Vch2はベース電圧で0Vです。
・Vch3はコレクタ電圧で約3.6Vです。
・LEDに流れる電流はI=(Vch4-Vch3)/220=0Aとなり消灯します。
(5)LEDが再点灯の瞬間
・100ms後に再点灯します。
・Vch1は0Vです。
・Vch2はベース電圧で0.77Vです。
・Vch3はコレクタ電圧で約0.17Vです。
・LEDに流れる電流はI=(Vch4-Vch3)/220=0.014Aとなり点灯しています。
(6)時定数の関係式
コンデンサの容量をC、抵抗をR、再点灯までの時間をTとすると
の関係となります。
- マルチバイブレータ回路(2)
(1)評価回路図
図14-3に示すマルチバイブレータ回路(2)はマルチバイブレータ回路の片側半分を追加ものです。
まずは、この回路の動作を確認します。
(2)簡易オシロによる電圧変化測定結果
簡易オシロによる電圧変化測定結果を図14-4に示します。
図14-4の結果は、少し難解です。
(3)初期状態(SWはプラス側の接続)
・SWはプラス側の接続しています。
・Vch1は左側ベース電圧で0.5〜0.8Vで変動しています。
・Vch2は左側コレクタ電圧で0.2〜1.8V変動しています。
・左側LEDは点灯しています。
・Vch3は右側ベース電圧で0〜0.8Vで変動しています。
・Vch4は右側コレクタ電圧で0.04〜3.7V変動しています。
・右側LEDは点滅しています。
(4)SWをマイナス側に切り替えた瞬間
・Vch1は左側ベース電圧で0Vです。
・Vch2は左側コレクタ電圧で3.5Vです。(左側LEDは消灯します。)
・Vch3は右側ベース電圧で0.74Vです。
・Vch4は右側コレクタ電圧で0.1Vです。(右側LEDは点灯します。)
(5)左側LEDが再点灯の瞬間
・100ms後に再点灯します。
・Vch1は左側ベース電圧で0.7Vです。
・Vch2は左側コレクタ電圧で0.13Vです。(左側LEDは点灯します。)
・Vch3は右側ベース電圧で0Vです。
・Vch4は右側コレクタ電圧で3.6Vです。(右側LEDは消灯します。)
以上の結果から、図14-3の回路において、左側LEDが消灯すると、右側LEDが点灯することがわかります。左側LEDは消灯後100ms後に再点灯します。
この時、右側LEDは消灯します。右側LED消灯後100ms後に再点灯します。その後左右のLEDは点灯状態となります。
- マルチバイブレータ回路(3)
(1)評価回路図
図14-5に示すマルチバイブレータ回路(3)はマルチバイブレータ回路の完成形です。
まずは、この回路の動作を確認します。
(2)簡易オシロによる電圧変化測定結果
簡易オシロによる電圧変化測定結果を図14-6に示します。
図14-6の結果は、左右のLEDが交互に点滅している状況を示します。
(3)左側LEDが消灯の瞬間
・Vch1は左側ベース電圧で0Vです。
・Vch2は左側コレクタ電圧で3.1Vです。(左側LEDは消灯します。)
・Vch3は右側ベース電圧で0.8Vです。
・Vch4は右側コレクタ電圧で0.12Vです。(右側LEDは点灯します。)
(5)左側LEDが再点灯の瞬間
・75ms後に再点灯します。
・Vch1は左側ベース電圧で0.8Vです。
・Vch2は左側コレクタ電圧で0.1Vです。(左側LEDは点灯します。)
・Vch3は右側ベース電圧で0Vです。
・Vch4は右側コレクタ電圧で3Vです。(右側LEDは消灯します。)
以上の動作が繰り返されることがわかります。点滅の周期は約150msです。周期の時間をTとするならば、
の関係となります。(14.2)式の比例定数K=0.45は電源電圧、トランジスタのON/OFF特性に依存するため、実験的に求めるべきと思います。
- 結果の検討
(1)マルチバイブレータ回路は、比較的単純な構成で矩形波発振信号を得られることが理解できました。
(2)マルチバイブレータ回路は比較的単純な構成ですが、直感的に動作原理を理解するのが難しい。
(3)マルチバイブレータ回路を半分に分割して、その動作特性を調べると理解しやすいことがわかった。
15章:スピーカ回路に行く。
トップページに戻る。