3章:コンデンサ容量測定
作成2013.11.21
コンデンサ容量測定は、テスターのみではうまくできません。ここでは、
簡易オシロを使用したコンデンサ容量測定を検討します。
容量測定回路
図3-1にモード1の容量測定回路、図3-2にモード2の容量測定回路を示します。
スイッチがOFFのとき、測定端子とGNDは46kΩの抵抗を通して短絡されます。
スイッチをONすると抵抗RとコンデンサCに電源電圧1.52Vが印加されます。
モード1では、コンデンサCの両端の電圧を測定し、モード2では抵抗Rの両端の電圧を測定することになります。
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CR回路の基礎理論
コンデンサCの両端の電圧と抵抗Rの両端の電圧を加算すると電源電圧V0に等しくなります。したがって
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(3.1)式を電荷qに置き換えると
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(3.2)式は1階線形微分方程式であり、ラプラス変換法で代数解を求めることができます。初期条件でq=0としてラプラス変換すると
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(3.3)式を変形すると
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となります。したがって、(3.4)式をラプラス逆変換すると
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したがって(3.2)式の解は
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となります。コンデンサCの両端の電圧Vcは
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となります。したがって、抵抗Rの両端の電圧Vrは
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となります。
コンデンサ容量測定ソフト
(1)コンデンサ容量測定ソフトのダウンロード
コンデンサ容量測定ソフトは以下からダウンロードできます。
[ コンデンサ容量測定ソフト]をダウンロードする。
(2)コンデンサ容量測定ソフトの構成
解凍すると「CR回路測定」フォルダーがあります。フォルダー内には
・USB-FSIO_Oscillo.exe:簡易オシロ実行ファイル
・USB-IO_Family.dll:USB-FSIO_Oscillo.exeで使用するDLL
・容量計算.xls:コンデンサ容量演算ファイル
(3)使用方法
・USB-FSIO_Oscillo.exeを起動し、測定を実行します。測定を実行すると同一フォルダー内に測定結果が「out.txt」に保存されます。
・容量計算.xlsを起動して、シート「操作」の「測定データコピー」ボタンを押すと測定結果がシート「data」にコピーされます。
・シート「操作」の計算条件表を設定して、「計算実行」ボタンを押すと容量Cの計算結果が表示されます。
・シート「data」には、理論計算値が追加されます。
・シート「グラフ」は測定値と理論計算値が表示されます。
(4)容量Cの計算手法
・最小自乗法による関数近似を用いました。
評価結果
(1)モード(1)1000μF
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(2)モード(2)1000μF
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(3)モード(1)100μF
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(4)モード(1)2.2μF
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(5)モード(1)0.1μF
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(6)モード(1)?μF
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結果の検討
(1)推奨抵抗値10kΩにおいて、約1μF程度まで、測定値と計算値は良く一致しているように思われます。(1000μFは充電時間が長くなりすぎるため1kΩを使用)
(2)表示容量100μFにおいて、測定結果と15%の誤差があるが、測定値と計算値が良く一致していることから、部品バラツキと思われる。
(3)0.1μF以下においては、変化点のデータが少なくなりすぎて、関数近似誤差が発生しているように思える。
(4)時間間隔を短くすると簡易オシロのデータ取得ボタンを押してから、電源スイッチをONするタイミングが難しくなる傾向があります。
(6)0.1μF以下においては、抵抗Rを10kΩよりさらに大きめに設定する必要がありそうです。
(7)?μFにおいては、あきらかに測定値と計算値がずれていますが、?μFは純粋なコンデンサではない可能性が高い。
(8)実用的な容量の範囲において、簡易オシロでコンデンサの容量測定が可能です。
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