4章:RLC回路測定

    作成2013.11.24

  1. RLC測定回路
     図4-1にRLC測定回路を示します。

     スイッチがOFFのとき、測定端子とGNDは46kΩの抵抗を通して短絡されます。また、乾電池の内部抵抗の影響を無くすため、十分大きな容量のコンデンサを乾電池と並列にいれました。測定用にはコイルと直列に115μFのコンデンサを使用しました。また、コイルはインダクタンスLと直流抵抗Rがあるとします。  スイッチをONするとコイルLとコンデンサCに電源電圧1.52Vが印加されます。

  2. RLC回路の基礎理論
     抵抗RとコイルLとコンデンサCの電圧を加算すると電源電圧V0に等しくなります。したがって

    (4.1)式を電荷qに置き換えると

     (4.2)式は2階線形微分方程式であり、ラプラス変換法で代数解を求めることができます。初期条件でq=0、q'=0としてラプラス変換すると

    (3.3)式を変形すると

    となります。したがって、(4.4)式をラプラス逆変換すると

    したがって(4.2)式の解は

    となります。しかし、(4.6)式はわかりにくいので整理する必要があります。振動が起こる条件は

    です。この条件において

    です。さらに展開するならば

    として、(4.6)式は以下のように変形できます。

    コンデンサ間の電圧は

    となります。式の展開の過程が複雑ですので、得られた結果が正しいか?検証が必要なようです。


  3. 連立ルンゲクッター法による計算
    (1)計算式
     連立ルンゲクッター法を適用すると比較的簡単に計算できます。

    (4.2)式を以下のように変形します。

     (4.12)式は一見難解ですが、(4.2)式から簡単に変形できます。(4.12)式の条件を設定して連立ルンゲクッター法を適用すると数値計算による解が求まります。

     具体的な計算は「微分方程式RCL回路.xls」を使用します。

    (2)「微分方程式RCL回路.xls」のダウンロード
     「微分方程式RCL回路.xls」は以下からダウンロードできます。
    [ 微分方程式RCL回路.xls]をダウンロードする。
     ダウンロード後は、ダブルクリックで保存場所を指定して保存してください。


  4. 評価結果
    (1)計算条件
    ・抵抗R=4Ω
    ・コンデンサ容量C=100μF
    ・インダクタンスL=0.0042H
    ・時間間隔dt=0.2ms

    (2)評価結果グラフ
     評価結果グラフを図4-2に示します。




  5. 結果の検討
    (1)ラプラス変換法で求めた代数解と連立ルンゲクッター法による数値計算結果はほぼ完全に一致する。
    (2)ラプラス変換法の式の展開は複雑で解が求まるのは限られるが、計算精度が良く、計算時間が短い。
    (3)連立ルンゲクッター法による数値計算は式の変形が容易であるが、計算時間が長くなる。また、計算条件によっては計算誤差が大きくなる。
    (4)実測値は代数解(および数値計算結果)とだいたいにおいて、類似した波形形状となる。(厳密には一致していない。)
    (5)コイルの直流抵抗は1Ω以下であるのに対して、実測値と類似の減衰係数を求めると約4Ωとなる。
    (6)ステップ応答の減衰係数が大きくなる理由としては、振動電流による電磁波の放出が考えられる。
    (7)一般的なコイルはインダクタンスLが小さく、簡易オシロでの測定に適さない。
    (8)大まかなインダクタンスLは代数解(および数値計算結果)と実測値を比較することにより、求めることができます。
    (9)ステップ応答は、不安定で正確な測定が難しい。インダクタンスLの正確な測定は、別な方法を考える必要がありそうです。









5章:CR回路交流特性に行く。

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